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夏の蛹

 どうやら上階の工事は風呂のタイルなどはつっているらしく電動工具の響きが壁を伝って真下にある帳場を襲撃中。頭の上の電球が振動で点滅するのでホラー映画みたいになっているw。ていうか鼓膜が破れそうなほどなのでティッシュを耳に詰め込んで防御しているが、そもそも何でこんなことしなきゃいけないのかとふと首をかしげてみるけれど、音が出ますっていう告知のみで、それでもそれが常識らしく何も言ってこないし。

 でもここまで強烈なのはここ数日のことだと思うので、イラつかずに、過ぎ去るのを待つという仏様みたいな心持で過ごしている。もう何でも許そう!という気持ちで生きることにしたので、何にも腹も立たない(と言いつつずっとクドクド言っているw)。

 お客様には、工事でうるさくてすみませんと言うと、大変ですねーと同情していただける。それよりこの夏をどう乗り切るかってことに頭を巡らしている時間が長くてきっと今日もそれであっという間に夕方になってしまうのだろう。昼前の土砂降りが嘘みたいに晴れ渡った国分寺の空がまぶしくて、それと湿気の相反する空気が店内に満ちあふれてなんだかよくわからない熱気が騒音と交じり合って、なんだかどうでもよくなってくる。

 人も昆虫の完全変態のように幼虫から蛹になり成虫になれれば、この夏にすっかり様変わりした姿で闊歩できるのにってたまに思う。悪いところも傷もすべてご破算になり、新しい細胞で新しい体が出来上がるという蛹になりたいなと。蛹の中では一旦全て溶けて水みたいになってから再び成虫になるべく細胞が出来上がっていくらしいので、人も一日か二日蛹になってドロドロに溶けた体が再び活性化して新しい体になっていく。そして再び生まれた自分はどこにも傷がなく痛みもない。ツルツルの皮膚とよく動く関節、晴れ渡った空みたいな聡明な脳、風になびくふさふさの髪、胸いっぱい吸い込んで吐き出せるマラソン選手みたいな肺、そんな自分がいたらなんともうれしい・・・。

 とはいえそんなこともなく向かいの殿ヶ谷戸庭園から聞こえてくる蝉の声は、いい加減仕事しろって言っているようにしか聞こえず、そういう蝉は不完全変態で蛹にはなってもドロドロに溶けるわけでもなくすでに蝉の形をした蛹なのである。だからどうなのかっていうことでもないんだけど、そうしてこの夏も蛹になれないまま過ぎていくのだろう・・・。

 今日の国分寺は晴れ。

 今日流れているのは、ビージーズです。
夏の蛹_b0304265_15093027.jpg

 


by yoshizo1961 | 2021-07-30 15:09 | SF・ミステリ | Comments(0)
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