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泥の河

 夏休みに読んでみよう第2弾。宮本輝の「泥の河」。

 戦争の傷跡を残す大阪で、河の畔に住む少年と廓舟(くるわぶね)に暮らす姉弟との短い交友を描く太宰治賞受賞作(文庫・説明より)。

 悲惨だとかみじめだとかそんなことを越えて胸に響く小説。だから若い人にこそ読んでほしい。多感であればあるほど、この小説の背骨を感じることができるはず。こんな時代があったんだなーという感想では終われない、深みと澱にどっぷりつかってしまう名作。宮本輝さんの作品では「流転の海」シリーズが大好きだけど、やっぱこの「泥の河」が原点ですかね。

 白黒画面を想像して読んでほしい。人はこんなに悲しいし、でもそれはあたりまえなのかもしれない。読んだ後でテレビとか見られないよ、たぶん。日常に戻りにくい読後感。そして余韻に浸りつつ眠ってほしい。この小説についてはこれまでも何度か触れているけど、何度読んでも力のある小説ってのもあるもんだと思います。「泥の河」、おすすめです。

 今日の国分寺は曇り。午前中、雨。

 今日流れているのは、フランク・ポールです。
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by yoshizo1961 | 2017-08-02 13:58 | 本あれこれ | Comments(0)
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