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中国語の部屋と、「創世の島」ふたたび

 “ 中国語の部屋”って知ってますか?

 中国語会話のレッスンをする教室でもなく、中国好きが集まるサークルでもない。それは、ジョン・サールという哲学者が1980年に発表した論文に出てくる思考実験の名前。

 具体的にいうと、こんな感じ(大体です)。ある部屋にひとりの人がいるとする。その部屋は小さな小窓しかなく、外からも中からもその小窓でしかやりとりができない。その小窓を通して外から一枚の紙が。紙には〇▲×◇☆●と書いてある。中にいる人には全く読めない。なぜならそれは中国語で書かれていて、中にいる人は漢字そのものを今までに見たことが無いからだ。

 しかしその部屋には分厚いマニュアルが1冊置いてある。そのマニュアルには〇▲×◇☆●に対応するのは★▲◎×★☆◎だからその通りに書け、と書いてある。中の人はマニュアル通りに★▲◎×★☆◎と書いて小窓から外に出す。外の人はその紙を受け取り、その返事を読んでこの部屋には中国語を理解する人がいる、と認識する。何度やってみてもちゃんと答えが返って来るので確かに中国語を理解できる人が中にいるんだなと確信する。

 けれども中の人はマニュアル通りにやっているだけで、中国語どころかただの記号にしか見えていない。もちろんその記号の意味することすら理解していない。でも、外から見るとこの部屋は中国語を理解している部屋となる。さて、中の人は中国語を理解していることになるのか?

 以前、紹介した「創世の島」に出てくるアンドロイドもこの中国語の部屋に言及する。チューリングマシンに関わる認識の違いについて。思考と認識を揺さぶる会話が続く。PKDが書くアンドロイドはどこか悲しいが、この「創世の島」に出てくるアンドロイドは聡明過ぎて恐い。

 以前は中高生に向けて、夏休みに読むおすすめ本として紹介したが、今回は真冬の暮れから正月にかけて、こたつ(いまどきないか?)で丸くなって読むことをおすすめします。思考って、なんだろうね?

 今日の国分寺は晴れ。晴れているからなのかすごく寒い。なんでこんなに冷えるのだ?(ドア開いてるからだよ・・・)

 今日流れているのは、YMO。「テクノデリック」です。YMOはやっぱライディ―ンあたりがいいですな。
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by yoshizo1961 | 2014-12-19 12:35 | 本あれこれ | Comments(0)
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