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對木裕里(ついきゆり)「空気 2009-2014」

 對木さんがまどそら堂で個展をする際、古本屋で展示するという特殊事情に積極的に絡むようにと、彫刻作品以外に、自ら編集した「本」を作ってくれた。この「本」は会期中のイベントとしても機能している。自らを表現した「本」を販売することが、パフォーマンスとなっているのだ。

 「空気」2009-2014 2014年7月15日発行 編集/発行 對木裕里 30部限定(150mm×210mm)。2009年から現在までの作品集となっている。作品やアトリエでの制作の一コマを連ねたものだ。彫刻作品そのものであったり、ドローイングや絵画作品、展覧会のために書かれたテキスト、ノートに書かれた言葉、など。

 小冊子という体裁であっても、2009年からの對木裕里の5年間が詰まっている。説明的なキャプションもなく、ただその時間が切り取られて時系列に並べられている。何を考え、何を思い制作していたのか、その一端が垣間見える。前半にアトリエと思しき空間で、左手で何かを掴んでいる写真が4枚並んでいるページがある。けれども、よく見ると左手は実際は何も掴んでいない。いや、作品の空気そのものを掴んでいるのか?無いものと在るものとの境界がぼやけてしまうような、そんな空気みたいなものを掴もうとしているのかな、と勝手に想像してしまう(それでタイトルが空気なのかな?←これも勝手な想像)。

 ドローイングが載っているページで、かたわらに言葉が添えられているものがあった。添えられているというより、自分で確認している言葉を書き留めているのだろう。その中に「どこからどこまでが私のものだろうか?」と書いてあった。そんなところが面白い。というより、その一言で、見ている世界が伝わってくる。

 限定30部で、あと20部弱。作家の内面を深く感じたい方におすすめです!ぜひ手に取ってご覧ください。對木さんの友達が制作したすごろく(「双六東京散歩」何故か吉祥寺編)がおまけについています。

 今日の国分寺は晴れ。真夏ですな。お知らせ:明日は国分寺ブックタウンプロジェクト・ワークショップ出席のため、明日のみブログはお休みします。あ、お店は開いてます!営業時間通り開けてますので、どうぞよろしく!
 
 今日流れているのは蘇慧倫(ターシー・スー)。フェイスブックを通じてまどそら堂に逢いに来てくれる台湾のお客様たちへ。いつもありがとうございます!
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by yoshizo1961 | 2014-07-25 15:29 | 展覧会情報 | Comments(0)
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