人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「古時計百種百話」緑川洋一あります

 家の目覚まし時計がひとついかれてしまって、もうひとつある目覚まし時計も鳴ったり鳴らなかったりで、頼りないことこの上なし。絶対起きなければならない時間に目覚ましが鳴ってくれず、寝坊したことも(鳴ったんだけど止めてただけだったりして)。

 時計というのは、ただ時間を表示しているだけに過ぎないはずなのに(時計そのものが時間であるわけでもないのに)時計という固体に時間が宿っている気がしてくる時がある。お店にも昭和レトロな壁掛け時計があるが、やたらとボンボンうるさいのでネジを巻かずに放置している。静かな時にいきなりボーンと鳴るので、お客様もビックリしてのけぞってしまうから(笑)。それが面白くてネジを巻きまくってた時もあったが。

 お店には古時計マニア垂涎(?)の、「古時計百種百話」がある。歯医者さんで写真家の緑川洋一の本。緑川洋一がひたすら集めた古時計たちと、その時計たちにまつわる話をエッセイ風に書いている本だ。なかでも讃岐の円座という村の、古い時計屋で求めた古時計の逸話が面白かった。鳥籠の鳥が動く置時計と、大正時代の古時計二つの合計三つ。幾らかと老人の主人に尋ねると、幾らで買うか、と。三つで六千円。そう答えると、老人は即座に六千円?とんでもない、と言う。安すぎたかな・・・と思って、しまった顔をしたら老人は緑川の顔をしげしげとのぞきこんで、お前さんは時計屋ではないな。これを六千円で売ったとあっては円座の時計屋が末代まで笑われる。高すぎる。ひとつ五百円、三つで千五百円。それ以上は絶対受け取らん。お前さんはよほど時計が好きらしい。上方から業者が来て売ってくれと言われたこともあったが、今までついぞ売らなかった。わしは年老いた。どうかそれを可愛がっておくんなさいよ・・・(一部本文から抜粋)と言われたそうだ。

 昭和の何年の話かわからないけど、当時の六千円ならそれなりの金額だったんだろうなと思うが、後で調べたら鳥籠の置時計は相当古いものだったらしい。そんな古時計にまつわる話と、現物のモノクロ写真が百種百話。本自体もレアだけど、中に載っている時計たちもレアものばかり。・・・面白いね。

 時間というのはほんとにあるのか、それともないのか。あってもなくても古時計には古い過去の時間も詰まっていそうな気がする。お店の掛時計もたまにはネジを巻いてみようかな。・・・昭和な時間が流れそうだよ。

 今日の国分寺は晴れ。ギリシャ戦は・・・。次のコロンビア戦に、一縷の望みをかけよう。限りなくゼロに近い確率でも、確定してないものはどうなるかなんてほんとわからないから(と、自分に言い聞かせています)。

 今日流れているのはクラッシュ。「ロンドンコーリング」で迷いを吹き飛ばせ!
「古時計百種百話」緑川洋一あります_b0304265_1601383.jpg

by yoshizo1961 | 2014-06-20 16:00 | 本あれこれ | Comments(0)
<< 星屑をすくってみた 咳をしても一人 >>