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「まどそら堂しいかちゃんの空想列車」後編

 
 (昨日から続き)
 
 小さな穴を覗いてもう、びっくり!だって箱の中から小さなおめめがこちらをのぞいているんだもん。
 
 「なぁぁぉ」
 えーっ、そのなき声って、ねこ?ねこちゃん?やだー、もー、かわいいー、どうしてなの?
 
 「んなぁぁぉ」
 狂おしく泣くので、もう我慢できなくなっちゃって箱を開けちゃった。やーん、かわいいー!ちっちゃーい!そっかー、ご主人、ねこちゃん飼うんだね、きっと。いいなー。
 
 「ただいまー」
 いやいや、わるかったねー、って言いながらご主人が帰ってきた。
 
「ん?どうしたの、そのねこ」
 肩にかけていた虫かごと水筒を下ろしながらご主人が聞く。うーん、そう聞かれても・・・だって飼うんでしょ、ねこちゃん。って顔してご主人を覗き込んだけど、どうも違う感じ・・・。箱開けちゃってまずかったかな・・・。
 
 「さっきイケメンのお客様が、あっ、いやいや、ついさっき来られた男性のお客様が置いていったんですけど・・・開けちゃってまずかった・・・ですか?」
 「うん?それはいいけど、あっ、ああっ、それって若くてかっこいい感じのお兄ちゃんが持ってきた?」
 「はっ、はい、それはもうイケメンの、あっ、まぁ、そんな感じの人です・・・」
  
 すると、うーん、と唸ったまま、ご主人固まっちゃった。何で?
 
 「あのさー、そのねこ、押し付けられちゃったんだよね、たぶん。きっともう来ないよ、その彼」
 「・・・押し付けって、預かったとかじゃなくて?よくわかんないんだけど・・・」

 だって、だから?
 
 「少し前にさ、ねこの話で盛り上がったんだよね、彼と。それでね、ご主人、ねこ飼わないかって突然言い出してさ、実は拾ってきちゃったらしいんだよね、そのねこ。ダメだよ、飼えないよって言ったんだけどなぁ。持って来ちゃったんだー、はぁー、困ったな、どうする?」

 いやいや、どうするって言われても・・・。
 
 「家に連れて帰るわけにもいかないし・・・しいかちゃん、飼う?」
 「えー、だって無理ですよー、突然言われても・・・まぁ、アパートはペットOKですけど」って言ったら、ご主人の目がキラッと!やばっ、言わなきゃよかった!
 「しいかちゃんのアパートって、ペットOKなんだ、ふーん、じゃあ、頼もうかな」
 「いやいや、ちょっと待ってくださいよぉ、ねこ飼ったことないしぃ、だいたいなんでわたしが飼わなきゃいけないんだか意味わかんないし・・・」

 結局ご主人に押し切られて、わたしのアパートで飼うことになっちゃった。といっても昼間はまどそら堂で預かってもらうって条件で。看板ねこだね、ハハハハハってご主人笑ってたけど、おいおい、意味わかんないよ、まったく。まあ、でもご主人の言うとおり何かの縁っていうのかな、そんなかもね。けっこうかわいいし、こ・い・つ。

 それから数年。かわいかったのも子ねこちゃんだった頃までで、昼間はまどそら堂でぶらぶらして寝てばっかりいるから、最近はどうもひねくれた眼になってる。それでもお店では看板猫として愛想振りまいてるみたい。結局あのイケメン男子もバックれちゃったらしいけど、わたしは、あれからたびたびまどそら堂でお店番するようになった。あいかわらずご主人は例の彼氏のこととか教えてくれないけど。おまじないあるなら教えてよって、いつも聞くんだけど笑ってるだけ。んー、いつか聞き出してやるぞー。

 結局ミステリーでもなんでもなかったけど、そういうわけでお店の看板娘(それは、わ・た・し!)と看板猫(名前はまだ無いけど)がお目見えです!今後共よろしくねー!

 「そういえばあのとき昆虫採集に行ってたんですか?」
 「ん?あのときって?」
 「ねこちゃんが初めてお店にきたときですよー、憶えてませんか?」
 「あっ、あー、あのときね・・・」

それからご主人黙っちゃって変な感じになっちゃった。なんかわるいこと聞いちゃったかな?

 ・・・まさかそれからほんとにミステリーが始まるなんて、そのときはこれっぽっちも思わなかった。ご主人、まどそら猫、例の彼氏とイケメン男子、そしてわたし。昆虫採集がキーワードの超絶ミステリーの幕が、いま上がろうとしている・・・というわけで、「まどそら堂しいかちゃんの空想列車・ミステリー編」近日公開を待て!ポッポー!!

                                       おわり


 今日の国分寺は晴れたり曇ったり。そして雨降ったり。少し寒いね。そういえば今日は日曜日だったか。道理でカップルのお客様が多いのかな・・・。

 今日流れているのは押尾コータロー。雨の音に合っています。
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by yoshizo1961 | 2014-04-06 15:28 | 創作 | Comments(0)
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