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古本屋、レオンに泣く

 お店で流れているBGMは、ほぼ店主の好みに拠るものである。だから本を探すのに邪魔にならないものをとか、耳あたりのいいものをという配慮に基づいたものではない。そもそも古本屋に音楽は必要か?-必要である(うちのお店の場合は)。

 あくまでも本が主役なので、流れている音楽は引き立て役としてのBGMという立場を越えるものではないが、その楽曲によってはBGMそのものが主張し過ぎて一喜一憂することがある。

 昨日、現実にあった話。

 昨日は一日中ひどい雨で、客足もまばら。近所に住むお客様や、たまたま食事に出たついでに寄って頂いたお客様ぐらいでお店は閑散としていた。昼からずっと「ビギンの一五一会」というアルバムをリピート再生していた。ビギンは雨が似合うなどと思いながら。けれども一日中耳に入ってくると飽きてくる。ブログにも本日のBGMはビギン・・・と書いた以上、閉店までかけていようと思ったが夜になっても誰も来ないのでCDをチェンジした。J・ポップつながりということで、たまたま持ってきていた尾崎豊をかけた。「I LOVE YOU」が雨音を消し去るようにお店の中にあふれた。
 
 なんともいい雰囲気なのだ。ボリュームを上げて「I LOVE YOU」ばかり何度もリピートして聴いていた。外は雨。だが、お店の中はなんともしっとりしている。こういう時にこそ、そこはかとない憂いを秘めた美しい女性が(だんだん妄想癖が・・・)お店に入ってくれば、この雰囲気に陶然とするだろう。と、思うのだが誰も入って来なかった。尾崎の「I LOVE YOU」がこれ程、雨の夜に合うのなら別のしっとり系の曲ではどうなるのだろうと思い、またCDをチェンジした。レオン・ラッセルのベスト盤。

 レオン・ラッセルは70年代に人気があったアメリカのロックミュージシャンだが、この人の「A Song For You」という曲は尾崎以上にしっとりとして雨の夜に溶け込むのであった。だが、このベスト盤の後半は「んー?」という感じの曲も入っている。粒ぞろいの曲が揃ってはいるのだが、70年代の古臭さが染み出た曲もあるのだ。そのあたりの曲はいつもはスルーするがそのまま流していると、傘をたたむ音がして、かわいい感じの若い女子のお客様が。

 なぜ「I LOVE YOU」の時に来ない!と、頭のなかでうそぶいては見たが、そういう時に限って「んー?」の曲が。ジャンジャカとうるさい曲がせっかくのしっとり感を打ち砕くのである。速攻で曲を変えたいがそれも変なので、もやもやしているうちにお客様は帰られてしまった。あーあ、と思っても仕方が無いが自信のあるBGMの中で本をみて欲しい・・・。閉店時にCDを止めてレオン・ラッセルのジャケットを見ると、どこか恨めしそうな視線が痛ましく感じられるのであった。

 今日の国分寺は晴れ。明日は曇り?

 本日のBGMはマイク・オールドフィールドの「チューブラーベルズ」。しっとりというよりじっとりという感じ?
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by yoshizo1961 | 2013-10-21 17:19 | お店あれこれ | Comments(0)
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