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夢は現か 現は夢か

 今日は江戸川乱歩の話を。
 あまり推理小説を読まない方でも、江戸川乱歩は読んだことがあるという人は多いだろう。いまだにその著作は出版され続けているし、人気も高い。本格というより、耽美的かつ幻想的な世界が、読む人を魅了するのだろう。

 以前にも触れたが、小学生の頃よく、乱歩の少年小説を読んだ。「怪人二十面相」や「少年探偵団」、「青銅の魔人」など、ポプラ社の、少し厚めでこじんまりした本。表紙の絵が扇情的で、子供心をくすぐった。夏休み前に、学校の図書室からごっそり借りておき、夏休みの間中、昼間は外で遊び、夜、夕食後の寝るまでの時間、蚊取り線香を脇に置いて、肘をついてうつぶせに寝転がって読み、その世界にどっぷりとはまったものだ。悪者のはずの二十面相が、意外と紳士だったので、子供心に、悪者として感情移入がしづらかった記憶がある。しかも、少年探偵が、自分と同姓の小林くんだったので、自分が作中の小林くんだと錯覚してして読んでいたかもしれない。

 大人になってからは、「屋根裏の散歩者」や「押絵と旅する男」など定番どころを読み、ご多分に漏れず、その世界にはまっていったが、いちばん好きな作品はやはり、「孤島の鬼」。乱歩の作品の中でも高人気の傑作。まさしく耽美で幻想的、おどろおどろしさの極致。もし未読なら、ぜひおすすめ(お店には今、3冊在庫あります←宣伝!)。

 乱歩はサインを求められると、そのかたわらにいつも「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」と書いたそうである。乱歩の世界そのままですね。

 今日の国分寺は秋晴れ。暑いくらい。でも、少し風があります。

 本日のBGMはクロノス・カルテット。おとといといっしょ。頭のなかでスルーしていくので楽です。
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by yoshizo1961 | 2013-10-08 16:09 | SF・ミステリ | Comments(0)
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