秋元文庫のある本屋

 かれこれ数十年前(アバウト!)、中学生だった私はやっと物心もつきはじめ、近代文学の有名な作品あたりから面白そうな小説を探して読むようになった。小学生の頃はもっぱら、江戸川乱歩の少年探偵団もの(ポプラ社の)を、学校の図書室から借りて読む程度だったので、キンダイブンガクなどという高尚な世界に触れた田舎の中学生としては、街の大きな本屋に繰り出して、わかったような顔で棚を徘徊しては満足していたものだ。
 私の生まれ育った街には、谷島屋という大きくて品揃えのよい本屋があり、日曜日になるとふらふらと遊びに行っては本を眺めていた。こづかいもさほど持っていなかったからほとんど買うことも無く、バス代ももったいないので、(今は無いが)馬糞通りという裏道を歩いて帰ることが多かった。その道すがらにも小さな本屋があり、その本屋にもよく立ち寄った。
 店の名前は忘れてしまったが、その本屋でいつも眼を引かれる棚があった。秋元文庫である。

 黄色の背表紙が連なって、ひときわ異彩を放っていたその文庫は、いわばライトノベルの元祖であった。近代文学とは程遠かったが、妙に引かれるものがあり、何冊か買った。SFでは眉村卓の「二十四時間の侵入者」とか、光瀬龍の「その列車を止めろ!」。YOUNGシリーズでは、「恋は緑の風の中」、「十五歳の絶唱」など。「十五歳の絶唱」は、中学生ながら、泣けた。

 大人になって、というか歳をとってから、懐かしさもあって秋元文庫を探すようになった。少し前までなら、新古書店の105円の棚にも、古書店の100均棚でもよく見かけたが最近はあまり見かけない。

 いま見ると、SFなら挿絵画家の依光隆の表紙絵が凄い!とかファニーシリーズの水森亜土のイラストが最高!とか見所満載なのだ。・・・が、うちのお店のお客さんの反応はいまひとつ。自分が好きだったから同世代には受けるだろうと思い込んでいたが、思い込みは、やはり思い込み。

 懐かしい思い出は思い出として。でも、当時読んでいた人にも、まったく知らない若い人にもお薦めしたい。黄色の背表紙を見かけたら、手に取ってみて。黄色はすぐ退色するから、日ヤケで薄くなった背表紙もあるけど、思い出は退色しないよ。


 今日も国分寺は秋晴れ。過ごし易い一日でした。明日は日曜日、お天気もよさそう。良い休日を。まどそら堂は営業しております。

本日のBGMは10CC.こちらも懐かしかったです。


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by yoshizo1961 | 2013-09-28 19:57 | 本あれこれ
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