この坂を上れば

 一日いちにち春めいて来て、やっと寒さも抜ける・・・つくしがにょきにょき出て来たと、テレビでやっていた。田舎のたんぼではレンゲが満開かな。

 そんな春が感じられてきた昨日、よく来ていただいている東経大の学生さんがスーツ姿で現れた。カバンと手提げ袋をぶらさげて、ぱりっとしたスーツに身を包んでいるので、就活ですかと尋ねると、今日は卒業式だと。

 うちのお店にたびたび寄ってくれていた、学生さんのお客様。そうですか、卒業ですかと声を掛けてはみたものの、卒業すれば、学校帰りにちょこっと寄ってくれることも無くなるわけで、寂しいかぎり。国分寺に足を運ぶことがあれば、ぜひまた寄っていただきたい。とりとめのない本の話や、漠然としてはいても、将来のことなどを話した時間が思い出される。こんな場末の小さな古本屋ではあっても、記憶の隅に残してもらえれば嬉しいかぎりだが、こうやってみんないずれ卒業していくわけだと、ひとり感慨深く、はぁーと息をついたり。

 東経大以外でも学芸大の学生さんや、学芸大付属、早実の高校生・中学生の学生さんたちもうちのお店のお客様。国分寺のご近所さんだが、4月になって新生活が始まれば、また新しいお客様も来てくれるかも知れないから、学生さんには特に愛想よくしなければ(いやいや皆同じです)。元気に学生生活を楽しんでもらいたいが、たまには本など読んで(もちろんまどそら堂で買って)こころの幅を広げてほしい。

 毎朝、中央線や西武線に乗って国分寺まで来て、南口を出て、学校まで歩くいつもの道。卒業すればもう歩くことはないかもしれないが、いつも歩いた国分寺のハケの道をたまに思い出してほしい。この坂道を上って右に曲がれば、4年間学んだ、懐かしい、あなたの学校だよ。卒業、おめでとう。

 今日の国分寺は晴れ。ほんと暖かくなりました。

 今日流れているのはエディット・ピアフです。
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# by yoshizo1961 | 2014-03-23 13:47 | 国分寺あれこれ | Comments(0)

西村賢太でやさぐれる

 ついに、というか、とうとう触れてしまう時がきた・・・と言いたくなるほど重たい私小説の西村賢太。いやいや、確かに重いものはあるけれども、そんなに騒ぎ立てるほどでもないだろうと皆さん思うだろうが、何故か西村賢太を読むたびに一悶着あるので、あまり触れないようにしていたのだ。

 西村賢太の作品の中でも特に”秋恵もの”と言われる、唯一相思相愛になった女性との同棲生活の話を読むと、必ず後で妻と大喧嘩になるというジンクスがあるので、最近は西村賢太の本に近づかないようにしていた。

 けれども一度覚えた”西村賢太私小説”の味は忘れがたく、たまにそぉーっと引っ張り出して読んでしまう。するとてきめんに心がやさぐれて、妻にぞんざいなくちのきき方をしては大喧嘩へと流れていくのである。影響されやすいだけかも知れないが、それほどに人の心に爪を立てる私小説というのも、あまり例がないように思われる。川崎長太郎の私小説のようなどこか抜けてるような感じとも違い、上林暁の私小説のような知性を感じさせる、というより痴性に長けた私小説、というところか。

 特に好きな作品は、「小銭をかぞえる」。お金がからむと色々複雑だけれど、この人のねちねち加減が絶品で、しかも大正、昭和の言い回しでそれをやられると佳作な私小説に思えてくるから不思議。既読の方なら、その嫌さ加減が快感になってくるのを判ってもらえるかも知れない。西村賢太をまだ読んでいないという方は、ぜひどうぞ。やさぐれて誰かと喧嘩になっても、私のせいではありませんからあしからず・・・。

 今日の国分寺は晴れ。日差しがまぶしくなりつつあります。が、花粉が・・・。

 今日流れているのはぽこぽこミュージック。クリンペライです。
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# by yoshizo1961 | 2014-03-22 15:05 | 本あれこれ | Comments(0)

井上陽水追想

 先日You Tubeで井上陽水のライブを観て、それなりの年齢を経たシンガーの歌声が妙に気になってしまった。昔のようにもっと素直に歌ってくれよと、一人でつっ込んだ(余計なお世話だけど)。

 陽水に出合ったのは中学生の時だったか。給食の時間に流れる校内放送。通常は連絡事項の後、退屈なクラシックが流れる。いま思い返しても教職には不向きだったと思われる音楽教師の指導のもとに流されるクラシックは、「禿山の一夜」とかだったりしたが、その日もいつものようにゆるく流れ始めたクラシックが突然止まった。ほどなくして、また突然のように流れ始めたのは、井上陽水の「氷の世界」!しかも大音量で。

 中学校の給食時間を切り裂くようにシャウトする陽水の歌声。だらだらと進む退屈な時間が熱狂へと変わる。それが陽水との出会いだった。他の曲は既に知っていたかも知れないが、「氷の世界」は別格だった。それ以来中学時代は、陽水の曲を覚えては歌っていたのだ。

 校内放送の顛末は、ありきたりな毎日を打ち崩そうとした放送部と3年生の一部の生徒たちが起こした反乱だった。給食時間、放送室を占拠し、教師たちに制圧されるまで「氷の世界」を流し続けた。実際なんだかよくわからなかった中学という縛りの時間を解放するアクションが、「氷の世界」だったというところが今思えば当時の中学生らしいなぁ、と。

 そういった事件の核心には興味を持つこともなく、ただ陽水の歌が好きになった。だからこの年になっても陽水には興味がある。だからなのか、あの妙な歌いまわしにはつらいものを感じる。
元々声量もあり歌も上手い人が、より巧妙な歌唱に転じていく。なんだか演歌調にも聞こえるその歌声。美空ひばりになっていくのか・・・。

 そんなわけで陽水の曲は、古いものならほとんどそらで歌えます。だからどうだっていう話じゃないけれど・・・。

 今日の国分寺は晴れ。風がつよい。お彼岸ですか。

 今日ながれているのはいつものサキソフォンの曲です。
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# by yoshizo1961 | 2014-03-21 14:49 | ミュージックあれこれ | Comments(0)

1967年の少年サンデー

 先日少年マガジンのことを書いたので、今回は少年サンデーを。

 手元にあるのは、1967年(昭和42年)の古びたサンデー。表紙は「おらぁグズラだど」のグズラ。当時の価格は大サービス60円!いまやその十数倍・・・。状態が良ければもっとするね。厚みは約2センチで、今の少年誌と比べたらかなり薄い。

 巻頭特集が「少年サンデー特派記者カナダ・アメリカの旅」だが、それはさておき特集ページの下段が広告スペースになっており、その広告のほうがなつかし度高すぎ!コビトの赤影チョコレートの広告だが、いまあったら相当いい値がつきそうだ。

 1967年あたりだと、さすがに記憶も定かではない。漫画は憶えているけれどテレビの実写やアニメとシンクロして記憶されているので、雑誌で読んでいたかは微妙。でもこの当時の連載アイテムはヴィンテージコミックスとしてレアなアイテムとなっていますな。

 この号の連載は、「アニマル1」川崎のぼる、「仮面の忍者赤影」横山光輝、「弾丸児」九里一平、「パーマン」藤子不二雄、「グズラ」坂井れんたろう、「どろろ」手塚治虫、「ジャイアントロボ」光プロ作品、「グリグリ」つのだじろう、「冒険ガボテン島」久松文雄、「青の6号」小沢さとる。その他に、読み物・特集・図解・読みきりまんが・大懸賞など。カッパクイズやガッポリパトロール、科学ニュースなんてものもある。

 この号発売の月(10月)にテレビで「ジャイアントロボ」の放映が始まっており、ロボの特集記事が多く載っている。敵の”ギロチン帝王”という名前のインパクトが強く記憶に残っている。いまこんなネーミング思い浮かばないもんなー。「パーマン」はいまでも露出度が高いから古く感じないけれど、当時はコピーロボットが欲しかったもんだ。「どろろ」もこの頃の連載。時代怪奇まんが、となっている。火の鳥と並んで手塚の作品の中では群を抜いて名作。「冒険ガボテン島」もいまや超レアアイテム。アニメ版のタイトル曲が懐かしい(昔ビートたけしがカバーして歌っていたのをテレビで見たことがある)。

 そんなわけで、「少年サンデー」も少年マガジン同様、子どもたちに多大な影響を与えた雑誌だったわけである。だから、ずーっと捨てずにとっておけばよかったね!いっぱいあったのに・・・残念。

 今日の国分寺は曇り。なんか雨降りそう・・・。明日は雨だよね、明日は定休日なのでお休みします。また金曜日に。金曜日は春分の日で祝日だけど、まどそら堂は開いていますよー!

 本日流れているのは、バッハです。
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# by yoshizo1961 | 2014-03-19 15:09 | マンガあれこれ | Comments(0)

Back to the Frank Stella

 今日は風が強かった!花粉も飛びまくってるね。今年は軽いほうだけども、今日はかなりきてる・・・。

 暖かいから、やっとドア全開でいけるのは嬉しいが、こう風が強いとほこりがまってざらつくのが困りもの。ハンディモップで掃っても、しばらくするとほこりっぽくなっている。春のこの時期はどうしてもこうなのだね。

 昨日から棚の掃除など兼ねて本をいじってたら、またまたどつぼにはまってしまい、さきほどやっと落ち着いた・・・ああ、おれは何をしているのだろう、と途方に暮れた顔で外を見ると、もう夕方なのであった。お客様には、いやー、こんな状態ですみません・・・とエクスキューズしながら見てもらっていたけど、落ち着いて見れないわな、ほんと。

 冬も終わってこんな陽気になってきたら、ブラブラと何処かに行きたいものだ。近頃余裕が無さ過ぎて、国分寺近辺でしか動いてないし。こういう時にこそ、美術館などに行って落ち着いて作品などを眺めてみたいものだ。

 最近はリアル系やシュール系に偏りすぎていたせいか、抽象系の作品に新鮮さを感じてしまう。そこで基本に立ち返り(何の基本なのだろう?)、例えばフランク・ステラを見に行ったりすれば、刺激になりはしないか、などと考える。初期のミニマルな絵画もいいけれど、やっぱりあの巨大なレリーフ作品に触れたい。

 エキゾチック・バードシリーズだったか、インディアンバードだったか忘れたけれど、あのむちゃくちゃな存在感をかもし出している作品に、相当影響されたものだ。好きなんだよなぁと思える数少ない作家で、金持ちだったら、ひとつやふたつ買いたいくらい。千葉の川村記念美術館にステラの作品がごっそりあるけど、実はまだ一度も行ってないので、こんど行ってみるかな。学生の頃、アキライケダギャラリーでステラを見て興奮した気持ちがまた蘇るかな・・・。いまの自分にはステラのパワーが必要!皆さんもステラの作品、見てみてください。ちからが湧きますよー!

 今日の国分寺は晴れ。強風もおさまったね。春一番なの?

 今日流れているのはトム・ウェイツ。渋くて泣きそうです。
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# by yoshizo1961 | 2014-03-18 19:07 | 美術あれこれ | Comments(0)