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猫の親方?

 
 「長靴をはいた猫」。子どもの頃読みましたか?

 お店にあるのは澁澤龍彦が訳したもの(1974/5刷)。シャルル・ペロー版。本文のタイトルは、「猫の親方あるいは長靴をはいた猫」。それ以外に「赤頭巾ちゃん」「仙女たち」「サンドリヨンあるいは小さなガラスの上靴」「捲き毛のリケ」「眠れる森の美女」「青髯」「親指太郎」「驢馬の皮」の8編があり、合計9編が並んでいる。

 あとがきによると、ペローの「昔話」(1697年!)は、副題を「鵞鳥おばさんの話」といい、この「鵞鳥おばさん」を英語に直せば「マザー・グース」であるから、イギリスの童謡「マザー・グース」の起源はフランスのペローにあるという説もある、という。

また、グリム版との違いも興味深い。ポピュラーなのはグリム版だが、それより古いペロー版は意外とハッピーエンドではないらしい。これもあとがきによるが、例えば「赤頭巾ちゃん」ではグリム版は通りかかった猟師が狼の腹を鋏で切って、呑み込まれたおばあさんと赤頭巾ちゃんを救ってくれるが、ペロー版では、赤頭巾ちゃんは狼に食べられたきり誰にも助けてもらえない。しかも彼女は裸になってベットに入るという、露骨な性的暗示をも伴っている、という。また、それ以外にも心理学や精神分析的解釈の絶好の資料になっているそうだ。

この翻訳がユニークな点は、なんとこれがあの「アンアン」の創刊号(昭和45年)から同誌に5回にわたって掲載されたものをまとめたものだというところ。あの澁澤龍彦の翻訳がアンアンに!というのも驚きだし、ふんだんに挿し込まれている片山健の挿絵と表紙絵が、ペロー+澁澤をいい塩梅に表現しているところも見所だ。澁澤ファン必読!

久し振りに猫の親方(ナイスタイトル!)を読んでみた。子どもの頃読んだか、または紙芝居かアニメで見たかは定かではないが、いま読むとなんだか違うお話めいて、面白かったです。

 今日の国分寺は晴れ。昨日はひどい天気でしたね。一日いちにち春めいてきますが。

 今日流れているのは、ピンクフロイド。「炎」です。

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by yoshizo1961 | 2014-03-31 14:54 | 本あれこれ | Comments(0)

深夜食堂でカツ丼を

 いまさらながら、ビックコミックオリジナル連載の「深夜食堂」安部夜郎/小学館が面白い。

 テレビ版で見ていた方も多いと思うが、原作のマンガも、もちろんあのまま。悲喜こもごもなエピソードを、シンプルな絵柄で表現している。営業時間が夜12時からで、皆に深夜食堂と呼ばれている。メニューは豚汁定食だけだが、勝手に注文すれば、できるものであれば作ってくれる。むかしは”わけあり”そうな主人が作るごはんが美味そう。細かいところだけど、登場人物の眼が、みんな一様に小さいところが好き。

 第9夜の「カツ丼」がいい味わい。マンガなのに、ホロッとくる。こんな人生もいいね、と誰彼ともなく話をしたくなるようなエピソード。最後のオチも秀逸だ。色々なマンガがある中で、こういう大人なマンガの味わいもいいもんだね。

 最近、マンガ雑誌を読むのはラーメン屋とか、定食屋に入った時くらいだから、いまどんなマンガが面白いのかわからない。だからテレビで映像化されたとか、映画になったとかそんな情報が入ってこないかぎり、知りえないんだよね。知り合いから聞いて読んでみた、とか(それでめちゃくちゃ面白かったのが「聖★おにいさん」!愛読書です)。マンガ雑誌も売れなくなってるみたいだね。ひところは、電車でマンガ雑誌読んでる人が多かったけど、いまあんまり見ないもんね。スマホですかね、マンガ雑誌が衰退した理由は。

 まあ、それでも「深夜食堂」みたいなマンガも出てくるわけだから、メディアがどう変わろうともマンガそのものは生きつづけていくわけですな。あー、のんびりマンガが読みたい!

 今日の国分寺は雨。たまのおしめりもいいですが・・・。古本屋泣かせです。

 今日流れているのは久し振りにブライアン・イーノ。雨が似合いますな。
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by yoshizo1961 | 2014-03-30 13:30 | マンガあれこれ | Comments(0)

懐かしいとは

 昨日いらしたお客様のお一人は、小金井に住んでおられる方だった。生まれも育ちもこの地元で、昔の国分寺の様子など色々聞かせていただいた。野川で泳いだこととか、一里塚には一本の大きな松ノ木があった、とか。

 国分寺駅から東経大に行く道は、昔は線路の脇に細い道があり、みんなそこを通ったそうだ。うちのお店のあたりには材木屋があったそうだよ。まだ道も舗装されていない頃の話。小金井や国分寺は、昔は別荘地だったとも。大きなお屋敷が結構あったんだね。殿ヶ谷戸庭園ももとは別荘だし。

 そのお客様はもちろん年配の方だが、そういったお話をされている時いい感じの表情をされていたので、たまに”昔を懐かしむ”こともわるくない、と思うのだった。

 古本屋は古い本を売るのが商売だが、古い本というものにまとわり付く、様々な”懐かしさ”をも売るということなんだろうと、たまに思うことがある。ひとそれぞれに、”懐かしさ”は違うけれども、ただ古い本というだけではなく(新旧の違いも意味はなく)そこにある昔が、その人にとって特別な何かだったりするわけで、その懐かしい何かを買っていただけるのだと。

 そう考えれば古本屋は古い「時」(とき)を売るのであるから、物理の法則に抵触しないタイムマシンである、ともいえる。ノスタルジーに浸ることが、どこか後ろ向きな心持だと考える方もいらっしゃるが、まあ、それとも違う楽しみ方もあるということかな。

 きっとそのお客様も子どもの頃は、短パンとランニングでこの辺りを走りまわっていたのだろうね。ハケのうえの土ぼこりが眼に見えるようだ。どこもかしこもアスファルトで舗装されて、土が見えない大地になってしまったけど、懐かしく思い出す、土の道。・・・いいですね。

 今日の国分寺は晴れ。明日、雨?降らないで・・・ほしい。

 今日流れているのはボブ・ディラン。来日してるの?
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by yoshizo1961 | 2014-03-29 16:20 | 国分寺あれこれ | Comments(0)

46年間の死

 袴田事件の袴田元被告がほぼ48年振りに釈放された。事件のあらましは新聞やテレビのニュースで知る程度だが、一体この48年という時間の永さを、どう捉えたらいいのだろうかと、考えてしまった。

 逮捕されてから48年、死刑宣告を受けてから46年。冤罪であったなら、この46年間という途方もない時間をどうしてくれるのか。死を、首からぶらさげて生きる(?)という毎日はいったいどういうものなのだろうか。46年は永いよ。いろんなことを考えたり、したり、泣いたり笑ったりして生きる46年と、死を背負って生きる46年はあまりにも違いすぎる。それが、自分の犯した罪に拠るものであれば仕方の無いことかもしれない。が、そうではなくぬれぎぬだったら・・・。

 あそこが痛い、ここが痛いと言いながらも自分の足でどこへも行けて、美味いまずいと言いながらなんでも自由に食べられる。お金のある無しに関わらず、生活する部屋を持ち、しがらみや業を抱えながらも、とりあえずは自分の意思を持つことができる。嫌なことも楽しいことも悲しいことも全部自分の裁量だ。そんなあたりまえの日常を理不尽に剥ぎ取られることになって、しかも死刑だと言われたら、いったいどうなってしまうのか。

 真実や正義など信用できない・・・そう思うだろうから、本来のまともな思考を捻じ曲がった思考にすり替えて、自分をだますしか生きることができない。でも死刑だから生きられないんだと思えば、もうやりきれなくて涙もでないだろう。けれども、これもたんなる感想にすぎない。その立場になったらという仮定の言葉にすぎず、本当に、死ねと言われて死ななければならない状況なんて想像したってわからない。ただ、現実にそういう状況に落とし込まれた人がいる、という恐ろしさをどう捉えたらよいのか。

 テレビではそんなニュースの後には、町の可愛いパン屋さんの新作メニューの紹介など、たわいのない話題を流している。それが日常、だけれど、常に死を思いながら呼吸する日々を送る人が、この世のどこかには存在するのだという普通からしての非日常が、恐ろしい。

 死刑囚の俳句を集めた「異空間の俳句たち」/海曜社から、ある死刑囚の絶句を。


       
        冬晴れの 天よ つかまるものが無い     尚道


 
今日の国分寺は晴れ。暑いくらい。明日(29日・土曜日)は都合により、14:00(午後2時)からの営業となります。よろしくお願いいたします。

 今日ながれているのはバッハです。昨日、家で「世紀の曲がり角」を口笛で吹いていました。この曲に日本語の詞をつけて歌ったら面白いかなと思って、頭のなかで詞を考えながら吹いていたら、いいのが浮かんだんだけど、今日になったらもう忘れてしまいました・・・。
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by yoshizo1961 | 2014-03-28 16:35 | 虎の穴あれこれ | Comments(0)

「世紀の曲がり角」で時間が止まる

 昨日はずっとイエスの「究極」を流していた。「究極」を流すと、お客様がたくさん来ていただけるというジンクスがあるので。

 通常よりたくさんのお客様が来て、たくさん買っていただいた日にたまたま「究極」が流れていたという経験を、ジンクスに見立てて勝手に思い込んでいるので、売上が下降線の波の時に「究極」をかけてみる。霊験あらたかなジンクスなので、そうそう使うわけにもいかない。いつも使うと、ちからが落ちてしまいそうだから。

 昨日も「究極」のおかげか、昼間からお客様がどしどしやってきた。たまにはこういう時もあるのです、的な人数が店内にひしめく。学生さん4人組が来店されて、熱心に棚を見やっている時に静かに流れ始めたのは、「究極」のなかでも大好きな「世紀の曲がり角」。

 スティーヴ・ハウのエレキ・ギターと、ジョン・アンダーソンのボーカルがこの小さな古本屋に降りそそぎ、時間の流れを止めてしまった・・・などとうっとりとしているのは店主のみで、学生さんたちは聴いている風でもなく、本についてあーだこーだと会話しているのであった。おーい、みんな、いま「世紀の曲がり角」かかってるよー!いいところだよー、と心の中で叫んでみても、70年代のプログレってことじたい興味なしかな?そうだわな、プログレって?って世代だもん。知ってるほうがめずらしいよね。

アルバムバージョンではなく、(友達のFくんから教えてもらった)ルネッサンスのヴォーカリスト、アニー・ハズラムが歌い、スティーヴ・ハウがアコギを弾いているバージョンも最高だ。皆さん、イエスの「世紀の曲がり角」聴いたことなかったらこれ読んだ後、ユーチューブで聴いてみてください。とってもいい感じですから(普通ここでクリックすれば聴けるようにしてあるんだろうけど、いまだにどうやったらいいのかわからない)。

 あれよあれよといつのまにか夕刻になって、お客様の波もひとごごちつきほっとした瞬間、すうーっと「世紀の曲がり角」のイントロが。・・・今度は本当に時間が止まる。10代から聴き続けてそれでも飽きないんだから、凄い曲だね。おなじ「究極」にはいっている「不思議なお話を」も名曲。やっぱブリティッシュですね、プログレは。

 今日の国分寺は曇り。雨降るって言ってたけど、なんとかもってる。明日は雨かな。明日は定休日なのでお休みします。また金曜日に。

 今日はおなじイエスでも「究極」ではなくて「危機」にしてみましたが、こちらはジンクスは出来そうもなく、お客様もちらほら・・・でした。

 昨日も書きましたが、そびえ立つビルの前で素っ裸で背中を向けているおっさんのアルバムジャケットのデザインはヒプノシスでした。・・・そんな感じですね。

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by yoshizo1961 | 2014-03-26 18:06 | ミュージックあれこれ | Comments(0)

新入荷情報12

 本日は新入荷情報です。


 [SF・ミステリ]
 「夏への扉」ロバート・A・ハインライン/ハヤカワ文庫/昭和55年・5刷
 「オズのブリキの木樵り」ライマン・ブランク・ボーム/ハヤカワ文庫/昭和61年・4刷
 「オズの魔法使い」ライマン・ブランク・ボーム/ハヤカワ文庫/2005年・38刷
 「オズのチクタク」ライマン・ブランク・ボーム/ハヤカワ文庫/昭和61年・5刷
 「オズのかかし」ライマン・ブランク・ボーム/ハヤカワ文庫/昭和57年
 「江戸川乱歩名作集2」江戸川乱歩/春陽文庫/昭和47年・33刷
 「マインドヘッドー洗脳ー」ロビン・クック/ハヤカワ文庫/昭和60年
 「戦慄のコバルト60」R・L・グレーヴズ/創元推理文庫/1981年・初版
 「死と挑戦」笹沢左保/春陽文庫/昭和51年・25刷
 「遥かなる死の匂い」山村正夫/春陽文庫/昭和53年・初版
 「墓場に国境はない」山村正夫/春陽文庫/昭和57年・初版
 「甦った鷲たち」J・ディモーナ/新潮社/昭和57年
 「復習のブラックゴールド」R・L・グレーヴズ/創元推理文庫/1979年・初版

 [コミックス]
 「男おいどん」松本零士/講談社漫画文庫/1995年・1刷
 「スカルマン」石ノ森章太郎・島本和彦/メディアファクトリー/2002年・初版
 「ねじ式」つげ義春/小学館文庫/2001年・23刷
 「孤島ナンセンス」小島功/奇想天外社
 「サザエさん」長谷川町子/姉妹社
 「おもいでエマノン」梶尾真治×鶴田謙二/徳間書店/2012年・4刷
 「毎日かあさん」西原理恵子/毎日新聞社/2004年・2刷
 「女の子ものがたり」西原理恵子/小学館/2009年・4刷
 「営業ものがたり」西原理恵子/小学館/2009年・5刷

 [児童書・絵本]
 「ハロウィーンがやってきた」レイ・ブラッドベリ/晶文社/1977年・5刷
 「がんくつ王」デューマ原作 五十公野清一・文/日本書房/昭和45年
 「森のようちえん」石亀泰郎/宝島社/1995年・1刷
 「さよなら。ピー太」西村文:作 佐々玲子:絵/BL出版/2001年・1刷 
 「ひとりでできるもん!」金の星社/2000年・初版
 「ぼくのすきなやりかた」五味太郎/偕成社/1998年・1刷

 [料理]
 「酒食生活」山口瞳/角川事務所/2005年・1刷
 「ハートのお菓子」オレンジページ/1996年・1刷
 「焼酎酒屋見聞録」宮前栄/生活情報センター/2006年
 「タジンポットでつくる、毎日のレシピ60」口尾麻美/辰巳出版/2010年・13版
 「タジンポットでつくる、今日のメインディッシュ」口尾麻美/辰巳出版/2010年・初版

 [文芸]
 「上林暁 外村繁 川崎長太郎 集」講談社/昭和40年・初版
 「夏草の賦 上」司馬遼太郎/文春文庫/2001年・51刷
 「夏草の賦 下」司馬遼太郎/文春文庫/2000年・46刷
 「どくろ杯」金子光晴/中公文庫/1993年・8版
 「エベレストの虹」谷恒生/角川文庫/昭和62年・初版
 「電話男」小林恭二/福武文庫/1987年・1刷
 「恐怖の花」阿刀田高/福武文庫/1989年・1刷

 [その他]
 「イラストレーター495人の仕事ファイル」玄光社/2006年
 「ゼニの幸福論」青木雄二/角川春樹事務所/1998年・2刷
 「柔道学のみかた」野瀬清喜/文化工房/2008年・1刷
 「星人地球植民説」大陸書房/昭和51年・再販
 「宇宙に夢中」大林辰蔵/福武文庫/1992年・1刷
 「世界の七不思議」庄司浅水/教養文庫/1993年・20刷
 「花伝書(風姿花伝)」世阿弥編/講談社文庫/昭和48年・2刷
 「山—随想—」大島亮吉/中公文庫/1989 年・7版
 「インド同時代」吉村文成/株式会社めこん/1985年・2刷
 「タイの島とビーチ(ロンリープラネット)」メディアファクトリー/2004年・4版

 
 今日の国分寺は晴れ。こんな感じでいい天気が続いてくれればいいけどね。

 今日流れているのはイエス。ビルの前で素っ裸のおっさんが、背中向けて立っているアルバムです。大音量でかけると気持ちいいですね・・・。

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※画像にある[TOKYO OTONA CLUB]は売り切れました。
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by yoshizo1961 | 2014-03-25 12:51 | 入荷情報 | Comments(0)

埋没する「白背」

 以前にも触れたが、横溝正史の角川文庫本で背の地が白の版がある。初版から初版に近い頃出ていたもので、それ以降はおなじみの黒い地の装丁となる。お店にあるのは「悪魔が来たりて笛を吹く」昭和47年2月22日・初版発行と、「獄門島」昭和46年10月30日・初版発行の2冊。

 横溝ファンなら、この白背本がどんなにレアなものなのかは承知している、と思う。残念なことに「八つ墓村」がない。八つ墓村の白背・初版本の表紙絵のエグさは、かなりのものなので、それと比べたら「悪魔・・・」も「獄門島」の表紙絵は優しく感じるほどだ。

 2冊とも40年以上も前の文庫本だから、それなりのヤケと経年劣化の感は見受けられるが、それ以外には傷もなく擦れてもいないし、破れもヨレもない。まあ、状態は良いほうだ。それ故にそれなりの価格をつけている為か、いまだに売れる気配がない。

 お店に並べているだけでも存在価値を示してくれるので、ずっとあってくれてもいいのだけれど、残念なことにだれもその存在に気がつかない。いや、気がついていても値段を見てスルーしているだけかも知れない。並べている自分ですらその存在を忘れてしまっていたある日、横溝本に詳しいお客様が来られ、何気に棚に差してある白背を見つけ、おぉっと唸った後、こんな普通に並べず壁の陳列棚に面陳で飾るべき、とのご指摘をされた。

 あまりに反応がないので、普通に棚に差しておいた白背を見つけてくださったお客様の言葉は、とても嬉しいものだった。白背はレアアイテムなんだけれども、やはり相当のマニアの方でなければ手を出さないので、特別扱いでなくて、普通に棚に差しておいたのです、と言って笑ってはみたものの、ふと落ち着いてその白背を手に取ってつくづく眺めてみると、大量にある黒背で読めばいいわけで、背が白いだけのことでなんでこんなに値段に差がつくのだ?と(自分で値付けしているにもかかわらず)自問してしまった。

 レアなので、値が高くなる道理は当たり前。角川文庫の横溝本のコンプリートを目指すマニアならいざ知らず、普通だったら手を出す価格ではないわなぁ、と自答して何気にもとあった場所に差し戻す。下段の棚に埋没した白背2冊、日の目を見るのはいつの日か。横溝正史好きのお客様に発掘されるまで、とにかくがんばれよー!と声援を送る店主であった。

 今日の国分寺は晴れ。もう春ですね。花見ですよ!

 今日流れているのはマイク・オールドフィールド。「プラチナム」のループ再生!
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by yoshizo1961 | 2014-03-24 17:26 | 本あれこれ | Comments(0)

この坂を上れば

 一日いちにち春めいて来て、やっと寒さも抜ける・・・つくしがにょきにょき出て来たと、テレビでやっていた。田舎のたんぼではレンゲが満開かな。

 そんな春が感じられてきた昨日、よく来ていただいている東経大の学生さんがスーツ姿で現れた。カバンと手提げ袋をぶらさげて、ぱりっとしたスーツに身を包んでいるので、就活ですかと尋ねると、今日は卒業式だと。

 うちのお店にたびたび寄ってくれていた、学生さんのお客様。そうですか、卒業ですかと声を掛けてはみたものの、卒業すれば、学校帰りにちょこっと寄ってくれることも無くなるわけで、寂しいかぎり。国分寺に足を運ぶことがあれば、ぜひまた寄っていただきたい。とりとめのない本の話や、漠然としてはいても、将来のことなどを話した時間が思い出される。こんな場末の小さな古本屋ではあっても、記憶の隅に残してもらえれば嬉しいかぎりだが、こうやってみんないずれ卒業していくわけだと、ひとり感慨深く、はぁーと息をついたり。

 東経大以外でも学芸大の学生さんや、学芸大付属、早実の高校生・中学生の学生さんたちもうちのお店のお客様。国分寺のご近所さんだが、4月になって新生活が始まれば、また新しいお客様も来てくれるかも知れないから、学生さんには特に愛想よくしなければ(いやいや皆同じです)。元気に学生生活を楽しんでもらいたいが、たまには本など読んで(もちろんまどそら堂で買って)こころの幅を広げてほしい。

 毎朝、中央線や西武線に乗って国分寺まで来て、南口を出て、学校まで歩くいつもの道。卒業すればもう歩くことはないかもしれないが、いつも歩いた国分寺のハケの道をたまに思い出してほしい。この坂道を上って右に曲がれば、4年間学んだ、懐かしい、あなたの学校だよ。卒業、おめでとう。

 今日の国分寺は晴れ。ほんと暖かくなりました。

 今日流れているのはエディット・ピアフです。
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by yoshizo1961 | 2014-03-23 13:47 | 国分寺あれこれ | Comments(0)

西村賢太でやさぐれる

 ついに、というか、とうとう触れてしまう時がきた・・・と言いたくなるほど重たい私小説の西村賢太。いやいや、確かに重いものはあるけれども、そんなに騒ぎ立てるほどでもないだろうと皆さん思うだろうが、何故か西村賢太を読むたびに一悶着あるので、あまり触れないようにしていたのだ。

 西村賢太の作品の中でも特に”秋恵もの”と言われる、唯一相思相愛になった女性との同棲生活の話を読むと、必ず後で妻と大喧嘩になるというジンクスがあるので、最近は西村賢太の本に近づかないようにしていた。

 けれども一度覚えた”西村賢太私小説”の味は忘れがたく、たまにそぉーっと引っ張り出して読んでしまう。するとてきめんに心がやさぐれて、妻にぞんざいなくちのきき方をしては大喧嘩へと流れていくのである。影響されやすいだけかも知れないが、それほどに人の心に爪を立てる私小説というのも、あまり例がないように思われる。川崎長太郎の私小説のようなどこか抜けてるような感じとも違い、上林暁の私小説のような知性を感じさせる、というより痴性に長けた私小説、というところか。

 特に好きな作品は、「小銭をかぞえる」。お金がからむと色々複雑だけれど、この人のねちねち加減が絶品で、しかも大正、昭和の言い回しでそれをやられると佳作な私小説に思えてくるから不思議。既読の方なら、その嫌さ加減が快感になってくるのを判ってもらえるかも知れない。西村賢太をまだ読んでいないという方は、ぜひどうぞ。やさぐれて誰かと喧嘩になっても、私のせいではありませんからあしからず・・・。

 今日の国分寺は晴れ。日差しがまぶしくなりつつあります。が、花粉が・・・。

 今日流れているのはぽこぽこミュージック。クリンペライです。
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by yoshizo1961 | 2014-03-22 15:05 | 本あれこれ | Comments(0)

井上陽水追想

 先日You Tubeで井上陽水のライブを観て、それなりの年齢を経たシンガーの歌声が妙に気になってしまった。昔のようにもっと素直に歌ってくれよと、一人でつっ込んだ(余計なお世話だけど)。

 陽水に出合ったのは中学生の時だったか。給食の時間に流れる校内放送。通常は連絡事項の後、退屈なクラシックが流れる。いま思い返しても教職には不向きだったと思われる音楽教師の指導のもとに流されるクラシックは、「禿山の一夜」とかだったりしたが、その日もいつものようにゆるく流れ始めたクラシックが突然止まった。ほどなくして、また突然のように流れ始めたのは、井上陽水の「氷の世界」!しかも大音量で。

 中学校の給食時間を切り裂くようにシャウトする陽水の歌声。だらだらと進む退屈な時間が熱狂へと変わる。それが陽水との出会いだった。他の曲は既に知っていたかも知れないが、「氷の世界」は別格だった。それ以来中学時代は、陽水の曲を覚えては歌っていたのだ。

 校内放送の顛末は、ありきたりな毎日を打ち崩そうとした放送部と3年生の一部の生徒たちが起こした反乱だった。給食時間、放送室を占拠し、教師たちに制圧されるまで「氷の世界」を流し続けた。実際なんだかよくわからなかった中学という縛りの時間を解放するアクションが、「氷の世界」だったというところが今思えば当時の中学生らしいなぁ、と。

 そういった事件の核心には興味を持つこともなく、ただ陽水の歌が好きになった。だからこの年になっても陽水には興味がある。だからなのか、あの妙な歌いまわしにはつらいものを感じる。
元々声量もあり歌も上手い人が、より巧妙な歌唱に転じていく。なんだか演歌調にも聞こえるその歌声。美空ひばりになっていくのか・・・。

 そんなわけで陽水の曲は、古いものならほとんどそらで歌えます。だからどうだっていう話じゃないけれど・・・。

 今日の国分寺は晴れ。風がつよい。お彼岸ですか。

 今日ながれているのはいつものサキソフォンの曲です。
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by yoshizo1961 | 2014-03-21 14:49 | ミュージックあれこれ | Comments(0)