カテゴリ:本あれこれ( 165 )

カズオ・イシグロさんでしたか

 今回のノーベル文学賞、カズオ・イシグロさんと聞いておおーっと。

 村上春樹さんだったら、3回転くらいできそうな在庫はあるけど、カズオ・イシグロさん、あったっけなー?と。最新長編と、夜想曲集は数冊あったと思うけど、「日の名残り」とか「私を離さないで」とかはもう売れちゃって在庫無かったなーと。

 今朝お店のバックヤードをゴソゴソしてたら、「日の名残り」の原書(といってもペーパーバックですが)が!通なお方ならこちらも売れるな(へへへ・・・)と下卑た笑いを。いやー、素直にノーベル賞受賞を喜ぶだけにとどまらず、どうしても古本屋的な視点になってしまうのでした。

 それにしても、まったく予想だにしていなかったので、少しでも想像してたらちゃんと在庫していただろうなーと。もうかなり前になるけど、カズオ・イシグロファンのお嬢さんが、お店にある本をまとめて大人買いされていったことがあり、それ以来ちょぼちょぼと並べているくらいだったので、いい本はちゃんと在庫しておかなければならんものだと勉強させていただきました。

 実際カズオ・イシグロの小説って以前にも書いたけど、丁寧で上品な言葉遣いっていうか、無骨さが無いんですよね。だから小説が美しいなーという印象。日本の作家なら川端康成みたいというか(ま、私的な印象です)とにかく上品です。小説の王道というか。それと、村上春樹さんの小説にも通じるところもあるかも。

 そんなわけでカズオ・イシグロさん、ノーベル文学賞受賞おめでとうございます。

 今日の国分寺は曇り。夕方から雨だそうです。

 今日流れているのは、タケオ・トーヤマです。
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by yoshizo1961 | 2017-10-06 15:09 | 本あれこれ | Comments(0)

「影裏」読んでみた

 沼田真佑の『影裏』を読んでみた。

 第122回文学界新人賞作品でもあり第157回芥川賞作品でもある。お店にあるのは、文学界の5月号(新人賞発表号)。

 先日、芥川賞の『コンビニ人間』を読んだばかりなので、芥川賞続きで読んでみたのだけれど、コンビニ人間とはまるで違うというか(ま、違うのは当たり前か)、なんか、小説っぽい小説というか。

 とにかく描写が細かい。細密な描写というわけではなく、サラッといえそうなところもきちっと描写するので、読んでいてウザったくなるほど。何度も途中でやめようと思ったけど、きっと何かあるに違いないと読み続ける。

 残念ながら想像とは違い、何もないままずーっと微に入り細に入りの描写が続く。おやっ?と思う記述に至ってもその答えはないし、ただ淡々と話は続くのである。ところが最終の頃に急激に話の波が高まり、とはいえ物語の抑揚というわけではなく、なんだか不思議なんだけど急に読みこめてくるのである。

 大震災の時の話であり、セクシャリティの話でもあるし、人間の不可思議さの話でもあるんだけど、超絶な描写テクのため文章がきれいすぎて昭和の巨匠が書いているみたい。とっつきにくかったんだけど、読み終えると濃ゆい読後感が残り、あんまりタイプじゃない作家なのに、次回作も一応読んでみるかという気になるという、なんか矛盾してるんだけど、不思議な作家さんの作品だった・・・という感想でありました。

 今日の国分寺は晴れ。明日から雨?

 今日流れているのも、キース・ジャレットです。
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by yoshizo1961 | 2017-10-05 14:28 | 本あれこれ | Comments(0)

尾崎放哉でとげを抜く

 たまに、放哉の句に触れたくなる。

 尾崎放哉の句集「大空」と、未掲載の句を集めた「尾崎放哉全句集 増補決定版」春秋社を図書館から借りてきて(残念ながら持っていないので)、ページを開く。無造作に開いたページに載っている句に触れる。自由律俳句という特殊な形態ならではの味わいを感じながら、ストレートに伝わってくる心情に相槌を打つ。

 図書館ではたいがいいつも詩歌・俳句の棚に鎮座していて借りだされている気配がないので、放哉って人気が無いのかなとふと思うが、そんなことはなく、山頭火と並んで自由律俳句の巨匠なのであると。

 放哉といえば、

 咳 を し て も 一 人

 とか、

 た っ た 一 人 に な り 切 っ て 夕 空

 など、哀切を帯びた句が有名だが、日常を淡々と切り取った句や、笑いをまとった句も多い。そんな句に触れていると、こころが澄んでくる気がして、この本が水の濁りを浄化するろ過装置のような気がしてくる。

 今日も朝、電車の中で開いてみたら、

 あ ら し が す つ か り 青 空 に し て し ま つ た

 に出会い、窓に雲の晴れ間を見つける。そんな符号がうれしい。

 た だ 風 ば か り 吹 く 日 の 雑 念

 こんな句がぴったりはまる日がよくあるし。放哉はいいですな、ほんと。

 ささくれてとげが刺さった気持ちの時など放哉を詠めば心が鎮まる。今日とげが抜けました。

 今日の国分寺は雨のち曇りのち晴れ。

 今日流れているのは、またしてもサクソフォンの曲です。
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by yoshizo1961 | 2017-09-23 14:50 | 本あれこれ | Comments(0)

コンビニ人間、読んでみた

 村田沙耶香の「コンビニ人間」、読んでみた。

 以前の作品を読んでいないので、村田さんがどういう感じの作家さんなのかわからないけど、この作品のみで推測するに結構冷徹そうな作風の作家さんなのかなと。

 小説のテンポは速いし長さも短いのでたったか読めてしまう。のめり込む、というよりのめり込まれる、って感じ。読後感がいいわけでもなく、うーむと唸りたくなる内容だが、これって小説の構造が特異なのかなと。最初はコンビニに焦点を合わせて社会性なんかについて掘り下げてる話かなと思って読んでいたら、これはある意味ホラーなのかもと。

 サイコパスって言ってしまえば簡単だが、なんだろう、一般的な普通の社会性と独自な視点での社会性のずれを淡々と描いているだけなんだけど、自分はどっち側なんだろうって。でもその構造が小説の中でうまいことできていて、取り込まれちゃいながら読んでるっていうか。普通の話かなーって読んでたら、ん?って。それが増幅してきて、あー、これってそういう話ですか・・・って。

 “餌”って言葉がリアルだったなー。いまひとつまとまらない感想でした。
 
 今日の国分寺は晴れ。秋晴れの一日。

 今日流れているのは、サキソフォンの曲です。
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by yoshizo1961 | 2017-09-21 15:03 | 本あれこれ | Comments(0)

買取の夕べ

 9月に入って買取依頼が増えており、夏過ぎは第2の引っ越しシーズンなのかなと。引っ越しでなくても断捨離とかですかね?

 秋が深くなってくれば、読書もしたくなりますし。古本屋に本を売って、空いたスペースにまた古本屋で買った本を積み上げていく・・・なんて方も多かったりして(笑)。それはそれでいいですよね。そうでもない?(笑)。

 断捨離もいいですが、本は手元にあった方がいいですよ。読んじゃってもういらないって思う本なら仕方ないですが。本は知の宝庫です。つまんない情報しか載っていないものもありますよ、実際。でもそんな本でもどこかのページのどこかの段落に何か宝物みたいな言葉もあったりします。

 好きで買った本って、思い入れたっぷりだからなおのこと売りづらいですよね?そういう本って買いづらいんですよ(笑)。売りたくないオーラ満載で(笑)。

 だからどうしても、もう売っちゃおうって思ったら、スパッと、そう、思いっきりスパッと決意した方がこちらも買いやすいという(笑)。そのあたり、どうぞよろしくお願いいたします。

 秋の夕べ、窓際に椅子を持って来て、暮れなずむ夕日を見つめて、たそがれる。そして今日買ってきた古本を開く。ついさっき大切にしていた蔵書を売ったばかり。なんか悲しい。喪失感?そしてその代金で買った本。お店の主人は売ってくださったばかりでもう買ってくださるんですかと恐縮していたが、何もない本棚が悲しそうでつい買ってしまった。

 ページを開くとなんか見覚えが・・・。あー!これさっき自分が売った本じゃないか~!いつの間に値付けして棚に並べたんだあのおやじ・・・。あちゃ~、しかも買った時より高い値付けになってる!ってこともあったりして。ないか(笑)。

 今日の国分寺は曇り朝方小雨。明日は火曜日なので通常は定休日ですが、作業等ありで、お店は開けております。臨時営業(?)ですが、ブログはお休みです。ブログのみまた水曜日に。

 今日流れているのは、クランベリーズです。
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by yoshizo1961 | 2017-09-04 16:48 | 本あれこれ | Comments(0)

八咫烏読書継続中

 今読んでいる阿部智里の八咫烏シリーズは、本来は八咫烏であるが、普段は人の形で生活しているという設定となっている。つまり烏の話なんだが人なので、あっちの世界ではあってもこっちの世界のように感じてしまうわけである。

 時折人の形から鳥形に変わり空を飛ぶシーンが出てくるが、たとえばあの名作SF「翼のジェニー」のように肩甲骨に翼を織り込んでいる少女といったメルヘンチックな感じでもなく、アニメにしたらどう表現するのか思案してしまうような複雑さもなく、早変わりのように人から烏へ、また烏から人へと変わるあの描写が、話の中ではさりげなさすぎるほどさりげないので、違和感なく読めてしまう。実際そんな変身ができたらそりぁいいなーと思うわけである。

 やっぱ鳥系がいいかな。変身できるなら。ライオンとかジャガーより、空を飛べるほうがいいもんね。魚でもいいかも。海の中をスイスイと。深海とか行ってみたいし。要はスピード感を感じられるのがいいってことかも。風をきって飛んだり、珊瑚の海をスイスイとしたり。

 もし鳥系だったらハヤブサとか?実際はスズメだったりして。魚だったらカジキとか?ま、いいとこトビウオかな。

 ていうかそんな話じゃなくてこの八咫烏シリーズ、意外とファンタジックな色合いは薄くて、どちらかというと政治的というか人間関係(烏関係?)のあやというかそんな話の運び方が面白いところだとわかってきて、お楽しみ電車本となっております。いま3作目読書中。おすすめですよ。

 今日の国分寺は晴れ。もう秋です。昨日は終日お出かけしていたので、副店長にブログをジャックされました。

 今日流れているのは、ビージーズです。
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by yoshizo1961 | 2017-09-01 14:09 | 本あれこれ | Comments(0)

秋元文庫を持って行こう

 今週末に始まる「真夏の東京蚤の市」に、懐かしの秋元文庫をまとめて持って行こうかなと。

 秋元文庫は蚤の市で売れるのか?たぶん無理(笑)。でも夏だし(関係ないかw)、懐かしがってくれるかも・・・って思ったけど、若年層にはアピールしないよな~。昭和の高度経済成長期世代にしかわかってもらえないだろうし。その世代がたくさん来るとも思えないし・・・。と、マイナス思考になりつつも、何故か信念をもって秋元文庫を並べてみたい気もするので、やっぱ持って行こう。

 SF畑からすれば、眉村卓とか光瀬龍のSFジュブナイルなど、依光隆などリアル看板系の挿画でおなじみのシリーズ(「つくられた明日」とか「その列車を止めろ!」など)が思い出されるが、秋元文庫の真骨頂は、神保史郎とか赤松光夫、みつはしちかこなどの青春もの(「恋のMG発売中」とか「ハートでアタック」とか「静かに自習せよ―マリコ―」など)なのである。ファニーシリーズと呼ばれる作品群で、ま、当時の青春系ライトノベル。

 今読めばそれこそ時代感があって違う意味で面白いかもしれないが、昭和当時のリアルタイム読者(中高生)にとってみれば、心躍り、ワクワクドキドキものだったわけで、ていうか大人からすれば子どもっぽ過ぎてつまらなかっただろうなー的ストーリーだと思うけど、ま、それでもみんな結構読んでたんだよね。

 秋元文庫を懐かしがってくれる世代は来ないと思うけど、若い人たちにすすめてみようかな?ま、無理かな(笑)。

 今日の国分寺は曇り時々雨。明日は火曜日ですのでお休みです。けれども蚤の市準備のため、お店で作業してます。

 今日流れているのは、ブライアン・イーノです。
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by yoshizo1961 | 2017-08-14 13:49 | 本あれこれ | Comments(0)

古い本の魅力

 古い本の魅力って何?・・・というところについて考えてみた。

 あくまでも私見の範囲を越えない考察ではありますが、僕が感じてしまうところは、あの経年劣化の美しさと褪めて落ち着いた色合いと手触り、そして古ぼけた匂いと共にその本が経てきた時間を想像してしまうところかな。想像というより、その本に感応してしまうということかも。

 古い本にはその本独特の何か、というか宿っているような何かを感じてしまうことがたまにあるんだけど、いまだかつて、いやな感じの本には出会っていない。うちの本棚の最上段とか本箱の洋書とかの中にもそんな宿っていそうな本が数冊あるけど、みんないい感じというか、ゆったりと時間を過ごしてきて、何も言わないんだけど存在感を醸し出しているというか。うちの本たちを守ってくれているような気もするし、やっぱそんな古い本っていい感じなのです。

 自分の中で、古いものに感ずる愛着とは別に、知と理が詰まった「本」というものに特別な何かを抱いているのかも。言葉というのは情報という面だけでなく、それそのものを言い表すものであるし、そんな言葉の集積である本が時間を経て、なおかつ凄みを増すということがあるんだろうなと。

 古い、いい本に出合うとうれしくなります。だから古本屋になったのかな・・・。

 今日の国分寺は晴れ時々曇り。

 今日もブライアン・イーノです。
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by yoshizo1961 | 2017-08-12 13:33 | 本あれこれ | Comments(0)

洋書絵本です

 洋書絵本がまとまって入荷したので、クリーニングとビニールがけをしつつ、それぞれの本をじっくり眺めていると、やっぱこうした洋書の絵本にはどこか独特な味わいがあるもんだと感じてしまうのだった。

 英語中心(フランス語やドイツ語の絵本も混ざっている)の絵本であるから、すんなり読めるわけでもない(ていうかほとんど読めないw)。なのに大体は理解できるところが絵本のいいところ。それに言葉がわからないからこそ想像も膨らむというもの。

 しかししかし洋書絵本はそんな意味ではなく、その佇まいがいいというところがいちばんの魅力かな。古いものは色が褪めて味わい深くなっているし、擦り切れたり、角っこが丸くなってたり、そんなところも優しくなっている感じで、飾っておくだけでもいいですな。

 読めずとも味わえるちょっと古めの洋書絵本。お部屋に一冊いかがですか。おすすめですよ。

 今日の国分寺は曇り。雨はまだ。今日からお盆休みですか?世の中お休みモードなんですな。

 今日流れているのも、ブライアン・イーノです。
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by yoshizo1961 | 2017-08-11 14:14 | 本あれこれ | Comments(2)

パラレルワールド的読書

 夏の読書・おすすめシリーズ第3弾は、物理本!「パラレルワールド 11次元の宇宙から超空間へ」ミチオ・カク著 斉藤隆央訳。

 タイトルはSFチックだけれど、現代物理真正面の本。ブラックホールやタイムマシン、もう一つの宇宙、多次元空間と聞けば、やっぱSFかと思うけれど、いやいや大真面目にそれらの興味津々なるテーマをぐいぐいと掘り下げてくれています。

 宇宙や多次元とかタイムトラベルなんかの話ってなんでこんなに魅かれるのか(自分だけ?)ってくらいに好きなんだけど、この本はそんな話をちゃんと物理として検証してくれているわけです。ま、物理としてなんて言い方は変かな?量子論やM理論、もちろんひも理論における可能性についての検証が素人にもわかりやすく書かれているので夏の読書にピッタリ(夏でなくてもいいけどね)。

 著者のミチオ・カクさんはニューヨーク市立大学理論物理学教授。超ひも理論の権威でもある。この間NHKのサイエンス番組に出ていたので、知っている方も多いのでは。「パラレルワールド」、物理好き、そして物理嫌いの方にもおすすめです。

 今日の国分寺は晴れ。また暑くなってきた?

 今日流れているのは、原田真二。ベスト盤です。
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by yoshizo1961 | 2017-08-04 14:05 | 本あれこれ | Comments(0)