カテゴリ:本あれこれ( 169 )

『村上朝日堂』ふたたび

 村上春樹の本で、昭和59年に発行された『村上朝日堂』という本がある。

 安西水丸が挿絵を描いて、村上春樹が短文のエッセイを書いている。若かりし頃の村上春樹が、普段の暮らしから出会った人、好きなこと嫌いなこと、その他諸々について書き連ねているが、国分寺でジャズ喫茶を開くくだりのエッセイが目をひく。

 その名もピーターキャットというジャズ喫茶(ピーターというのは村上春樹が飼っていたネコで、ペルシャと虎猫の混血の、犬みたいに大きな雄猫だったそうな)。当時バイトで貯めたお金と借金とで500万円用意して開店。引っ越すまでの間、国分寺でお店をやってたんですな。

 そのピーターキャットがあったのは、なんと、まどそら堂のある国分寺マンションのはす向かいのビルの地下。すぐそこにあったわけですな。ていう事は、どっちの歩道を歩いて通っていたのかはわからないけど、村上春樹が住んでいたのは駅のそばだから、テケテケこの前の道を歩いていたわけですよね。

 時が重なっていたら、村上春樹が歩いているのを見ることができたのかもね。当時まどそら堂があったら寄ってくれたかな(笑)。たまに、村上ファンにピーターキャットはどこ?って聞かれることがあるけど、そういう時は外まで出て行って、あそこあそこって教えてあげると、みんな喜びます(笑)。

 というわけで上記の情報は、みな『村上朝日堂』から。現在はもちろん文庫で読めますが、当時の息づかいを感じられるヤケた単行本でどうぞ。

 今日の国分寺は晴れ。さむいですな。

 今日流れているのは、エディット・ピアフです。
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by yoshizo1961 | 2017-12-09 15:55 | 本あれこれ | Comments(0)

素敵な本がいっぱい

 (突然ですが)本っていいですよね。特に時間を経た古本って。

 本は情報の集積物という側面だけじゃなく、何やら不思議なちからを持つモノだったりするので、自分にフィットする本に出会えればそれだけで運気も増す気がするわけです。手元に置いて愛でて慈しんだり、たえずカバンに入れて持ち歩いたりすればこころも豊かになります。

 たくさんの本の中から自分に合う本を探すって楽しいことです。もちろん新刊本でもいいんだけど、時を経た古本の中には、妙にパワーを増していたりして宿っていたりする本もたまにあるのでそんな本に出会うとつられてパワーが増します。ほんとですよ。

 稀少性ってわけでもなく、たとえ世間での評価はB級でも、自分にピッとくる本は必ずあります。レアアイテムばかりに気を奪われていると、目の前にある唯一のその本を見落としてしまいますよ。お客様にとってのかけがいのない本だったりするその運命の本をいっしょに探してみませんか?

 まどそら堂の棚にはそんな本がいっぱい・・・ていうかなんか誘導っぽい、怪しげな宣伝風に書いてみました(笑)。最近この手の宣伝が多くていやですよね・・・って(笑)。ま、いい本はいい本ですけど(笑)。

 今日の国分寺は曇り。

 今日流れているのは、レディオヘッドです。
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by yoshizo1961 | 2017-11-15 14:27 | 本あれこれ | Comments(0)

お店の本たち

 遅くなりました。今日は色々と外仕事が続き、今、帰還。

 帰って来て落ち着いて店内を眺めると、元々こんなにいっぱい本無かったよなーと自分で自分に言ったりして。始めた頃はもっと少なかったのにいつのまにやら増えていった本たち。

 買取させていただいているんだから本が増えるのは当たり前だけど、自分のキャパを越えているので自分の頭の中の在庫表から漏れてしまった本たちに申し訳ないと。何なにの本ありますか?と聞かれてなんか見たことありますが、あったっけなーなどと言いつつ記憶されていないので結局すみませんということに。そのあとバックヤードから出てくるなんてことはしょっちゅうで、かといってそのお客様がまたすぐ来てくれるわけでもなく。

 ちゃんと一冊一冊在庫管理しておけよって自分に言ってますが、これがね・・・。もちろん冊数とかはわかっているんだけど、アイテムすべての顔は覚えきれなかったりする・・・。いかんですな。意外と覚えられるタイプなんですよ、実は(笑)。それでもやっぱ多すぎて。

 データっていうより、一瞬でも見れば何となく頭のどこかにストックされてるんだけど、あとで検索するときその入力した時の状況(たとえばカレーの匂いがしていたりとか)と掛け合わせで入力されていたりするので、状況が突飛であればあるほどよく覚えていられるというわけです。それでも買取が続くと同じような状況ばかりでうろ覚えになってきたりするんですな。

 年をとってもパソコンには負けたくない・・・ていうか最初から負けてますかね(笑)。

 そんなことなど考えながら、さて、もう一仕事です。

 今日の国分寺は晴れ。明日は火曜日なので定休日です。たぶん、ていうか明日はほぼちびまどで作業してます。

 今日流れているのは、クロノスカルテットです。
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by yoshizo1961 | 2017-11-13 18:07 | 本あれこれ | Comments(0)

ききみみずきん読んでみた

 ひさしぶりに『ききみみずきん』を読みました。

 お話自体は知っていたけど(小さい頃読んだから)、こんな話だったかなーと。亡くなった父親が大事にしていた頭巾で頭の汗をふきふきすると、なんと鳥の会話が聞こえる!と。それでどこそこの娘の病気はどこそこの木が枯れかかってるからだとかわかっちゃってその木を助けて娘も村も良くなるって話。

 そんな頭巾があったらなー。いつも被ってる帽子じゃだめか(笑)。本を拭くタオルとかでもだめ?っていうか鳥の声聞こえたらどうだろうね。ネコとか、その辺の葉っぱとか。意外と俗っぽい話してたりして(笑)。

 岩波の子どもの本版では、文が木下順二で絵がなんと初山滋!味わい深さとレトロ感が絶妙な絵柄だけど、今風と言えば今風のほっこり感。いい感じの絵本ですなー。頭巾はきつねがくれたんじゃなかったっけ?と思ったけど、元版(元の言い伝えのお話しでは)はいろんなパターンがあるそうです。木下順二バージョンはちょっとアレンジしてるみたいですね。

 ききみみずきん欲しいですね。そうでもない?ちょっと聞きたいような聞きたくないようなって感じもありますもんね(笑)。

 今日の国分寺は晴れ。今日も本のビニールがけ・・・

 今日流れているのは、サキソフォンの曲です。
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by yoshizo1961 | 2017-10-26 13:39 | 本あれこれ | Comments(0)

カズオ・イシグロさんでしたか

 今回のノーベル文学賞、カズオ・イシグロさんと聞いておおーっと。

 村上春樹さんだったら、3回転くらいできそうな在庫はあるけど、カズオ・イシグロさん、あったっけなー?と。最新長編と、夜想曲集は数冊あったと思うけど、「日の名残り」とか「私を離さないで」とかはもう売れちゃって在庫無かったなーと。

 今朝お店のバックヤードをゴソゴソしてたら、「日の名残り」の原書(といってもペーパーバックですが)が!通なお方ならこちらも売れるな(へへへ・・・)と下卑た笑いを。いやー、素直にノーベル賞受賞を喜ぶだけにとどまらず、どうしても古本屋的な視点になってしまうのでした。

 それにしても、まったく予想だにしていなかったので、少しでも想像してたらちゃんと在庫していただろうなーと。もうかなり前になるけど、カズオ・イシグロファンのお嬢さんが、お店にある本をまとめて大人買いされていったことがあり、それ以来ちょぼちょぼと並べているくらいだったので、いい本はちゃんと在庫しておかなければならんものだと勉強させていただきました。

 実際カズオ・イシグロの小説って以前にも書いたけど、丁寧で上品な言葉遣いっていうか、無骨さが無いんですよね。だから小説が美しいなーという印象。日本の作家なら川端康成みたいというか(ま、私的な印象です)とにかく上品です。小説の王道というか。それと、村上春樹さんの小説にも通じるところもあるかも。

 そんなわけでカズオ・イシグロさん、ノーベル文学賞受賞おめでとうございます。

 今日の国分寺は曇り。夕方から雨だそうです。

 今日流れているのは、タケオ・トーヤマです。
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by yoshizo1961 | 2017-10-06 15:09 | 本あれこれ | Comments(0)

「影裏」読んでみた

 沼田真佑の『影裏』を読んでみた。

 第122回文学界新人賞作品でもあり第157回芥川賞作品でもある。お店にあるのは、文学界の5月号(新人賞発表号)。

 先日、芥川賞の『コンビニ人間』を読んだばかりなので、芥川賞続きで読んでみたのだけれど、コンビニ人間とはまるで違うというか(ま、違うのは当たり前か)、なんか、小説っぽい小説というか。

 とにかく描写が細かい。細密な描写というわけではなく、サラッといえそうなところもきちっと描写するので、読んでいてウザったくなるほど。何度も途中でやめようと思ったけど、きっと何かあるに違いないと読み続ける。

 残念ながら想像とは違い、何もないままずーっと微に入り細に入りの描写が続く。おやっ?と思う記述に至ってもその答えはないし、ただ淡々と話は続くのである。ところが最終の頃に急激に話の波が高まり、とはいえ物語の抑揚というわけではなく、なんだか不思議なんだけど急に読みこめてくるのである。

 大震災の時の話であり、セクシャリティの話でもあるし、人間の不可思議さの話でもあるんだけど、超絶な描写テクのため文章がきれいすぎて昭和の巨匠が書いているみたい。とっつきにくかったんだけど、読み終えると濃ゆい読後感が残り、あんまりタイプじゃない作家なのに、次回作も一応読んでみるかという気になるという、なんか矛盾してるんだけど、不思議な作家さんの作品だった・・・という感想でありました。

 今日の国分寺は晴れ。明日から雨?

 今日流れているのも、キース・ジャレットです。
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by yoshizo1961 | 2017-10-05 14:28 | 本あれこれ | Comments(0)

尾崎放哉でとげを抜く

 たまに、放哉の句に触れたくなる。

 尾崎放哉の句集「大空」と、未掲載の句を集めた「尾崎放哉全句集 増補決定版」春秋社を図書館から借りてきて(残念ながら持っていないので)、ページを開く。無造作に開いたページに載っている句に触れる。自由律俳句という特殊な形態ならではの味わいを感じながら、ストレートに伝わってくる心情に相槌を打つ。

 図書館ではたいがいいつも詩歌・俳句の棚に鎮座していて借りだされている気配がないので、放哉って人気が無いのかなとふと思うが、そんなことはなく、山頭火と並んで自由律俳句の巨匠なのであると。

 放哉といえば、

 咳 を し て も 一 人

 とか、

 た っ た 一 人 に な り 切 っ て 夕 空

 など、哀切を帯びた句が有名だが、日常を淡々と切り取った句や、笑いをまとった句も多い。そんな句に触れていると、こころが澄んでくる気がして、この本が水の濁りを浄化するろ過装置のような気がしてくる。

 今日も朝、電車の中で開いてみたら、

 あ ら し が す つ か り 青 空 に し て し ま つ た

 に出会い、窓に雲の晴れ間を見つける。そんな符号がうれしい。

 た だ 風 ば か り 吹 く 日 の 雑 念

 こんな句がぴったりはまる日がよくあるし。放哉はいいですな、ほんと。

 ささくれてとげが刺さった気持ちの時など放哉を詠めば心が鎮まる。今日とげが抜けました。

 今日の国分寺は雨のち曇りのち晴れ。

 今日流れているのは、またしてもサクソフォンの曲です。
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by yoshizo1961 | 2017-09-23 14:50 | 本あれこれ | Comments(0)

コンビニ人間、読んでみた

 村田沙耶香の「コンビニ人間」、読んでみた。

 以前の作品を読んでいないので、村田さんがどういう感じの作家さんなのかわからないけど、この作品のみで推測するに結構冷徹そうな作風の作家さんなのかなと。

 小説のテンポは速いし長さも短いのでたったか読めてしまう。のめり込む、というよりのめり込まれる、って感じ。読後感がいいわけでもなく、うーむと唸りたくなる内容だが、これって小説の構造が特異なのかなと。最初はコンビニに焦点を合わせて社会性なんかについて掘り下げてる話かなと思って読んでいたら、これはある意味ホラーなのかもと。

 サイコパスって言ってしまえば簡単だが、なんだろう、一般的な普通の社会性と独自な視点での社会性のずれを淡々と描いているだけなんだけど、自分はどっち側なんだろうって。でもその構造が小説の中でうまいことできていて、取り込まれちゃいながら読んでるっていうか。普通の話かなーって読んでたら、ん?って。それが増幅してきて、あー、これってそういう話ですか・・・って。

 “餌”って言葉がリアルだったなー。いまひとつまとまらない感想でした。
 
 今日の国分寺は晴れ。秋晴れの一日。

 今日流れているのは、サキソフォンの曲です。
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by yoshizo1961 | 2017-09-21 15:03 | 本あれこれ | Comments(0)

買取の夕べ

 9月に入って買取依頼が増えており、夏過ぎは第2の引っ越しシーズンなのかなと。引っ越しでなくても断捨離とかですかね?

 秋が深くなってくれば、読書もしたくなりますし。古本屋に本を売って、空いたスペースにまた古本屋で買った本を積み上げていく・・・なんて方も多かったりして(笑)。それはそれでいいですよね。そうでもない?(笑)。

 断捨離もいいですが、本は手元にあった方がいいですよ。読んじゃってもういらないって思う本なら仕方ないですが。本は知の宝庫です。つまんない情報しか載っていないものもありますよ、実際。でもそんな本でもどこかのページのどこかの段落に何か宝物みたいな言葉もあったりします。

 好きで買った本って、思い入れたっぷりだからなおのこと売りづらいですよね?そういう本って買いづらいんですよ(笑)。売りたくないオーラ満載で(笑)。

 だからどうしても、もう売っちゃおうって思ったら、スパッと、そう、思いっきりスパッと決意した方がこちらも買いやすいという(笑)。そのあたり、どうぞよろしくお願いいたします。

 秋の夕べ、窓際に椅子を持って来て、暮れなずむ夕日を見つめて、たそがれる。そして今日買ってきた古本を開く。ついさっき大切にしていた蔵書を売ったばかり。なんか悲しい。喪失感?そしてその代金で買った本。お店の主人は売ってくださったばかりでもう買ってくださるんですかと恐縮していたが、何もない本棚が悲しそうでつい買ってしまった。

 ページを開くとなんか見覚えが・・・。あー!これさっき自分が売った本じゃないか~!いつの間に値付けして棚に並べたんだあのおやじ・・・。あちゃ~、しかも買った時より高い値付けになってる!ってこともあったりして。ないか(笑)。

 今日の国分寺は曇り朝方小雨。明日は火曜日なので通常は定休日ですが、作業等ありで、お店は開けております。臨時営業(?)ですが、ブログはお休みです。ブログのみまた水曜日に。

 今日流れているのは、クランベリーズです。
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by yoshizo1961 | 2017-09-04 16:48 | 本あれこれ | Comments(0)

八咫烏読書継続中

 今読んでいる阿部智里の八咫烏シリーズは、本来は八咫烏であるが、普段は人の形で生活しているという設定となっている。つまり烏の話なんだが人なので、あっちの世界ではあってもこっちの世界のように感じてしまうわけである。

 時折人の形から鳥形に変わり空を飛ぶシーンが出てくるが、たとえばあの名作SF「翼のジェニー」のように肩甲骨に翼を織り込んでいる少女といったメルヘンチックな感じでもなく、アニメにしたらどう表現するのか思案してしまうような複雑さもなく、早変わりのように人から烏へ、また烏から人へと変わるあの描写が、話の中ではさりげなさすぎるほどさりげないので、違和感なく読めてしまう。実際そんな変身ができたらそりぁいいなーと思うわけである。

 やっぱ鳥系がいいかな。変身できるなら。ライオンとかジャガーより、空を飛べるほうがいいもんね。魚でもいいかも。海の中をスイスイと。深海とか行ってみたいし。要はスピード感を感じられるのがいいってことかも。風をきって飛んだり、珊瑚の海をスイスイとしたり。

 もし鳥系だったらハヤブサとか?実際はスズメだったりして。魚だったらカジキとか?ま、いいとこトビウオかな。

 ていうかそんな話じゃなくてこの八咫烏シリーズ、意外とファンタジックな色合いは薄くて、どちらかというと政治的というか人間関係(烏関係?)のあやというかそんな話の運び方が面白いところだとわかってきて、お楽しみ電車本となっております。いま3作目読書中。おすすめですよ。

 今日の国分寺は晴れ。もう秋です。昨日は終日お出かけしていたので、副店長にブログをジャックされました。

 今日流れているのは、ビージーズです。
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by yoshizo1961 | 2017-09-01 14:09 | 本あれこれ | Comments(0)