カテゴリ:お店あれこれ( 352 )

四月の風

 もう月半ばとなり、新入生さんや新卒で働き始めた人たちも少しは落ち着いてきたか、というところ。

 お店にも数日前に引っ越してきたという方がチラホラいらっしゃる。大学や専門学校に入学とともに上京、国分寺にアパートを借りてとか、寮に入ってとか。

 見知らぬ土地であっても、新しい場所、新しい出会いなどこれからたくさんありますよね。その中のひとつとして、まどそら堂もマーキングしてもらえればと。

 そんなわけで、おせっかいなもんだから、まださっぱりこのあたりがわからないなんてことを聞くと、あそこに行けここに行けと、そんなに覚えられないよってくらい情報出しちゃったりするわけですよ。

 それでもよろこんで、ほーほーと聞いてくれるので、調子に乗ってずーっと話してたりすると、変なオヤジ状態になりがちなので、少しセーブしてやっております・・・などと言いつつ、また若い人が来れば、1年生?なんて聞いてうるさいオジサンなのであった。

 それにしても新しい生活は、不安はもちろんいっぱいだし、慣れるまでは所在無げな気持ちになるわけで、ウキウキ感以上に落ち着かない感の方が勝っているわけで、そんなときこの福山雅治似の店長が「・・・どうかしたかい?」などと囁くように聞いてくれば、不安も一発で散るというもの・・・ま、いいじゃないですか、たまにはそういうこと言ったって(笑)。

 ま、そういうわけなんで、新しい人のみなさん、おめでとうございます。

 今日の国分寺は晴れ。ひのき花粉のせいで鼻づまりがひどくて眠れないので、昼間ぼーっとしています。

 今日流れているのは、「オ人形ダイナ」です。
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by yoshizo1961 | 2017-04-13 17:33 | お店あれこれ | Comments(0)

あいさつは大切

 あいさつは大切・・・それはお店にとって当たり前のことだと思っているが、間の悪いことに、お菓子をバクバク食べている時お客様がいらっしゃって、ちゃんと声が出ていない「いらっしゃいませ~」になってしまい、お客様にはちゃんと聞こえていないため、何か言った?的な、「?」という視線を投げ掛けられるのだった。

 まったくもともと声が小さくて、滑舌も悪いときたもんだから、あいさつなどしても届いていないことも多く、だからといってドでかい声を出せばいいというわけでもなく、ちょうどよい加減のハスキー声で「いらっしゃいませ~」と言えればいいのだけれど。

 おまけにヒノキ花粉で頭痛も併発し、どこか物憂いな感じではきはきしていないもんだから、あいさつもどこか歯切れが悪いのであった。ブックオフとかどこぞのラーメン屋みたいにいらっしゃいませー!のオンパレードこだま作戦でもやってみるかと思っても一人でどうやるのか・・・「いらっしゃいませー」「いらっしゃいませ~」「いらっしゃいませ~」と声のトーンを変えて行き、ドップラー効果を感じるような声掛けをひとりでやってみるか・・・ま、そんなことはどうでもいいですかね。

 ちなみに、さきほどのお菓子バクバクで「?」のお客様は、帰りしなに「ありがとうございましたー!」と滑舌のいい大きな声で歯切れよくあいさつして帰られました。見習わせていただきます。ありがとうございました!

 今日の国分寺は雨時々曇り。

 今日流れているのは、ピンク・フロイドです。
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by yoshizo1961 | 2017-04-09 15:52 | お店あれこれ | Comments(0)

東京蚤の市に持って行く本たち

 みなさん、5月の連休にはどこかに行きますか?

 連休明けの次の週、5月13日(土)と14日(日)は、第11回東京蚤の市が開催されますよー。またまたまどそら堂も出店します。この二日間は大変です。東京蚤の市に加えて、ちび窓の展示も入っているし、お店も通常営業しますのでバタバタしそうな予感・・・。

 蚤の市では女子系本と絵本の2本柱で。りぼんとなかよしの付録からヴィンテージ雑誌、コミックスとかわいいムック本など。絵本はリーズナブルな定番系の絵本から絶版系まで。洋書絵本も。

 あとガチガチの文芸でも装丁とか表情のかわいいものを。それと紙ものですかね。何やかんやと言っていてもあと1か月しかないのでちゃんとそろえておかないと。什器も。今回は面陳形式でいこうと思っているので、そのための台とか作らないといけないし。

 目玉になるアイテムがあるとないとではまったく違ってくるのでその辺を早めに手配しないと。たとえば雑誌なら「オリーブ」とか。昔はオリーブ少女だったのよ、とかいま思っているアナタ!もしお持ちでご処分を考えていらっしゃるなら、ぜひ売ってくださいー。

 今日の国分寺は曇り。まだ雨は降ってない・・・

 今日流れているのは、ピアノの曲です。
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by yoshizo1961 | 2017-04-07 14:12 | お店あれこれ | Comments(0)

アーカイブス・ウィーク⑨山口はるみ、パルコの時代

 アーカイブス・ウィーク最終日です。明日から通常ブログ復活です。よろしくお願い致します。


山口はるみ、パルコの時代 :2013・10・28

 80年代の若者が、ファッションやサブカルの聖地として崇めていた渋谷。その中でも渋谷パルコ周辺では、最先端のかっこいいお兄さんやお姉さんがしゃかしゃかと気取り顔で闊歩していた。どうも気後れするが、学生の頃からパルコの壁画描きの仕事をしていたので、渋谷に来ざるを得ずなるべく隅っこを歩いてパルコに通った。当時の渋谷一帯は今のように尖り気味な空気は無く、しかしダサい人お断り的な雰囲気を併せ持つ、おしゃれ優先・見た目勝負の街であった。そして、当時のパルコの雰囲気やイメージを絵に例えると、それはまさしく、山口はるみなのであった。

 山口はるみは、パルコをはじめとした数々の広告ポスターなどで知られるイラストレーター。エアーブラシの技法で描かれた女性像といえば、彼女の作品の代名詞でもある。作品を見れば、ああと頷く方も多いだろう。描かれた女性像同様、ご本人もきれいな方である(といっても会った事ないけど)。

 話は逸れるが、彼女のエアーブラシの技法で描かれた絵はスーパーリアリズムといって、1950年代くらいにアメリカで生まれたアートである。高校生の頃、こうした表現が流行って(高校がデザイン科だった)何かとグラデーションや陰影をつけたがり、山口はるみ風にするものが多かった。といってもエアーブラシなど誰も持っていないので、みな目の細かい金網に毛足を短く切りそろえた専用の筆を擦り付け、画面にその飛沫を飛ばし、似非っぽい絵を作っていた。けれども皆ヘタクソなので人物の陰影など出来る筈も無く、たいがい球や直方体などの単純な絵柄で満足していた。元々そういった表現は不得手であり、する気も無かったので、自分はしなかったが「なんちゃってエアーブラシ」が皆好きであった。

 塗装以外に、エアーブラシを使った表現が今時どうなのかよく知らないが、70年代から80年代にかけての山口はるみはその技法と共に記憶される。ただ、新聞小説の挿絵などエアーブラシに拠らない絵を見ても、絵が描ける人だと思うので、やはりちからのあるイラストレーターなのである。

 今日の国分寺は雨時々曇り。

 今日流れているのは、エラ・フィッツジェラルドです。
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by yoshizo1961 | 2017-04-01 14:36 | お店あれこれ | Comments(0)

アーカイブス・ウィーク⑧古本屋の一日

 本日もしつこくアーカイブスです。通常ブログは明日か明後日には再開しますので、よろしくおねがいします!


古本屋の一日:2016:7:15

 定休日明けの金曜日、実は今日が週の始まり。さてさて、古本屋の開店時間だよ・・・まずは玄関前の掃き掃除。何もないように見えてチリ、埃は毎日積もるのでササッと掃いてゆく。

 100均ワゴンと100均木箱などを店頭に並べ、玄関横のコンセントに裸電球を差し込む。暗くなる前くらいから点灯するため。店内も掃き掃除してそのあと雑巾がけののち、本にはたきをかける。

 レジの準備をしてパソコンを立ち上げて準備完了。さあ、開店です。

 続いて未整理の本などを仕分けしたり棚に本を入れたり。買取した本を拭き、値付けしたりしながらフェイスブックやらツイッターやらをチェックしたり書き込んだり。

 最近はお昼の12時前に開けていることが多いので、お昼になったらお弁当を。食後は眠くなるので舟をこぎながら接客。さすがにマズいので外に出て新鮮な空気を吸い眠気を覚ます。ブログを書いて、一休み。

 夕方近くなると調子も上がって来てお客様と話し込んだりすることもあるが、真剣に今後の行く末を考えながらも腹減ったーなーと。ま、夜7時をまわって、そろそろ片づけるかなと思う頃にお客様が来て延長。

 朝の準備を逆回転で片づけてシャッターを閉めて閉店の時間。なんだ楽勝だなーと思ってるアナタ、ま、そうかもしれません(笑)。・・・古本屋やりたくなりましたか?ほんとのところ上記は見た目をなぞっただけで、合い間合い間でクソつらい仕事も挟まってるしきついこともたくさんありますよ(笑)。ほんと、楽な商売なんてありませんな・・・。

 今日の国分寺は曇り時々雨。

 今日流れているのは、トム・ウェイツです。
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by yoshizo1961 | 2017-03-31 15:33 | お店あれこれ | Comments(0)

アーカイブス・ウィーク⑦時間を旅する本

 本日もアーカイブスです。今日は1年前くらいに書いたものです。


時間を旅する本:2016・2・23

 昔の黒っぽい本(戦前から戦後すぐあたりの)の中には、内容よりも本の装丁とか活字の文字とか紙質とかいい感じの本が結構あるので、書籍としての価値よりも、そんな雰囲気重視で並べているものもある。

 ただそんなに売れることはない。というよりほとんど出ない。カッコいいと思うんだが(笑)。たしかに読む気はしないというか、古語っぽくてというか旧仮名が読みにくいというか(笑)。

 でも装丁がいいなーというものは、たとえばお部屋のインテリアとして飾ったりとか、お友達へのプレゼントとかいいと思うんですが(笑)。いやいやわりとまじめに言っています。

 でもそれにしたって戦前からなら軽く100年くらい存在しているということで、いったいどうやってそんなに長い時間捨てられもせず人から人へ渡り歩いてこうして残っているということがすごいと。

 器物に宿るなんとかみたいに、こうした本にもなにかしら宿っているのかもしれないですな。けっして怖い系の変なモノじゃなくて、静かな精霊のような。一冊くらいいつもカバンの中に忍ばせておいて、時間のある時にそっと取り出して手の中でその精霊を感じてあげればきっとすばらしい幸運を呼んでくれるかも・・・。うちのお店の奥にある木箱棚の上あたりにある本がおすすめ(笑)。どうぞよろしく!

 今日の国分寺は晴れ。一日中、棚の整理・・・。

 今日流れているのは、サキソフォンの曲です。
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by yoshizo1961 | 2017-03-30 17:18 | お店あれこれ | Comments(0)

アーカイブス・ウィーク⑥星屑をすくってみた

 定休日明けの水曜日、本日もアーカイブスです。リアルタイムのブログも週末には再開できそうです。よろしくお願いいたします!


星屑をすくってみた:2014・6・21

 バックナンバーの日経サイエンス(2013・3月号)のある記事から、宇宙と今ここに関する想像を広げてしまった。

 その記事は、「ダイヤモンドの惑星」~地球とは科学組成があべこべの系外惑星が見つかった~。地球とは逆の組成の惑星といってもピンとこないが、主に炭素でできていて、惑星内部では圧力によって大量の炭素がダイヤモンドになっている可能性がある星の話。そんなダイヤモンドの星が、太陽系から40光年離れたところに見つかったという。

 炭素なんていくらでもあるもんだと思っていたが、地球での存在比は0.1%に満たないそうだ。この惑星の結晶ダイヤモンド層の厚みは、惑星の半径の3分の1に及ぶ。こうした炭素惑星の構成は、地球ができたのとはまったく異なる形成過程によるらしい。

 そんな惑星が太陽系から40光年のところにあるといっても、いったいどのくらいの距離なのか?40光年というのは、光の速さで40年かかるということ。光の速さは秒速で約30万km。1光年で9兆4千600億km進むので、40光年で、378兆4千億km。なので、太陽系から約380兆キロ先にダイヤモンドの星があるというわけだ。

 ちょっとばかり堀りに行こうと思っても、簡単には行けませんな。この記事を読んでいて想像したのは、ダイヤモンドではなく、なんでそんな遠くの星のことがわかるんだろう?ということから始まって、いったい宇宙の遠くまで行ってみたら地球はどうなっているのかな、と。

 もう無理っていうくらいまで、(花子みたいに)想像の翼を広げてみよう。地球を飛び立って、どんどん遠くへ飛んで行く。太陽系を超えて、銀河系も超える。銀河系が小さな砂粒くらいに見えるあたりまで飛んで行って、そのあたりで初めて後ろを振り返る。・・・・・・うーん、地球はどこだ?

 振り返って眼を凝らせば星屑だらけだ。プラネタリウムみたい。いやいや、本物の星屑だ。両手でかき集めて胸の前にためたら、片手で一握りしてみる。すくい上げた手のひらから星屑がこぼれてしまう。こんな遠くまできて地球なんてどこかわからないし、砂粒くらいの星屑だらけの宇宙で、いったい、星の組成よりなんでこんなに星ばかりなんだろうと思ってしまう。

 地球は、すくった手のひらのなかの星屑のなかに埋もれているかもしれない。けれどそんな小さな砂粒程度の星なのに、その星の表面にへばりついて、コロンビア戦には絶対勝たなければならないとか、今夜のごはんは何かなどと考えたりしている人間の思考というものはそもそも何なのだ?と。いったいそれを誰が見ているのか?宇宙で誰かが理解してくれているのだろうか?だーれもいない宇宙だったら、そもそも何で何のために考えているのか?宇宙の端っこの銀河系のまた端っこの太陽系の小さな青い惑星の土の上で、あーでもないこーでもないと考えている自分そのものとは、いったい何であるのか?

 ・・・・・・わからん。遠い宇宙から地球を見たら、表面にいるのかいないのかわからないくらい小さな人間。けれどもひょっとしたら「フェッセンデンの宇宙」みたいにどこかで誰かが見ているのかも。そんな想像をしてしまった。

 この記事の最後で、もしこの惑星に生命がいるとして、求婚されたときにダイヤモンドを贈られてもうれしくないだろう、と。そりゃそうだね(笑)。科学の記事にしてはウイットに富んでいて、面白かったです。

 今日の国分寺は晴れ。まだ風は冷たいですな・・・

 今日流れているのは、クリンぺライです。
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by yoshizo1961 | 2017-03-29 12:44 | お店あれこれ | Comments(0)

アーカイブス・ウィーク⑤夏の終わりに見る夢は

 本日もアーカイブス・ウィークです。夏の話なので季節感ズレズレですが・・・


「夏の終わりに見る夢は」:2016・9・5

 
 もうすぐ秋だというのに、こうクソ暑いと妄想も暴走する。

 あまりの暑さに朦朧としたまま夜道をフラフラ。いつ店を出たのかどこをどう歩いたのかもわからず。いつのまにやら頭の上に電信柱の裸電球がひとつ。電信柱と寄りそうようにすすけた板でできた昭和な塀。塀の奥、路地の向こうに、一軒の古本屋が・・・。

 こんなところに古本屋なんてあったっけ?開けっ放しの引き戸。昭和30年代にあったような木造平屋。こんなレトロな建物でしかも古本屋?いぶかりながらも古本に引き寄せられるように敷居をまたぐ。なんだか梶井基次郎の檸檬に出てくる本屋のよう。

 平台にはヤケがきつい古本が並び、壁の棚もほとんど骨董だし、いや、ここは昭和、それも30年から40年代のリアルといってもいいレトロ古本屋だ。それにしてもよくできてるなあと見まわしてみると奥の帳場にまん丸の銀縁眼鏡をかけた店主らしき男が居眠りをしている。かたわらにおなじく居眠りする猫。

「すみません・・・」かすれた声で訊いてみる。ここはいつから?
いままで居眠りしていた丸眼鏡の主人がむっくりと顔を上げる。 
「・・・・・・?」
あ、その。
「・・・ああ、申し訳ない、眠ってしまったようです。誰も来ないのでつい」
「こちらはいつからここに?いままでまったく気が付かなかったものですから」
「うちですか?いつからって・・・かれこれ3年前くらいですかね。昭和36年の5月からですから・・・」
「はい?昭和36年?」
「ええ」

 まだ居眠りから覚めていない主人に合わせて、ああ、そうですかとひとりごちながら、ゆっくりと店内を見渡す。ほんとによくできている。使っている什器は骨董で揃えられるけど、この壁や柱、天井などのエージングはハンパじゃない。ここまでレトロに仕上げる技術は相当のもんだよ・・・。

 平台に目を向けるとどこかで見たような本が・・・。ん?これって。
そこにあったのはどこをどう探しても出てこない栗田信の『発酵人間』!まさか・・・。
驚きを超えて妙に冷静な面持ちで手に取ってみる。本物だ。しかも美本。こんなレア本がなぜ・・・。
「あ、あの、これはいくらですか?」恐る恐る訊いてみる。
「ん?あ、ああ発酵人間ね。値付けしてなかったっけ?そうだね、じゃあ60円でどう?」
「・・・60円?」
うそだろ、やっぱりこのオヤジどうかしてるよ。帯付き美本なんだよ、相場で40万円はするのに!

 たったの60円ぽっちで何も知らない主人をだまして買ったような気にもなり、良心の呵責を感じはしたが『発酵人間』の魅力には抗えなかった。両手で抱えながら来た路地を戻る。おぼろな月明かりがあやしく足元を照らす。いやな汗が背中を伝う。

 路地をさ迷いながらもと来た道をたどろうとするが、進めば進むほどどこを歩いているのかわからない。おれはどうしてしまったんだろう。『発酵人間』をしっかり胸で抱え直す。これだけは落としてはいけない・・・。

 どこをどう歩いて帰ってきたのか自分でも判然としないが、なんとかお店の帳場まで戻ってきた。やれやれ。変な夜だな。大事に抱えてきた『発酵人間』を机に置こうとして、手に何もないことに気づく。え?

 足元に朽ちかけた葉っぱが一枚ひらひらと舞い落ちる。あー、ばかされたか。それとも時空の狭間にはまって昭和の時代の夢でも見ていたというのか。

 何事もない、誰もいない店内で、ああ、そうだ、おれはいまそんなことを考えていただけなんだと気付く。朦朧とした意識で妄想していただけ・・・?そういえばあの古本屋のおやじ、誰かに似ていたな。誰だっけ?   

 今日の国分寺は雨のち晴れ。明日は火曜日なのでお休みです。また水曜日に。

 今日流れているのは、キース・ジャレットです。
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by yoshizo1961 | 2017-03-27 15:32 | お店あれこれ | Comments(0)

アーカイブス・ウィーク④チップス先生さようならの記憶

 本日はアーカイブス・ウィーク4日目です。まだ続きます。今日は「チップス先生さようなら」。


「チップス先生さようなら」の記憶 :2014・6・1

 多感だった10代の頃に読んだ本は、今でもあらすじが浮かんでくる。それは、若いために記憶容量が多くて、しかもまだ細胞も新鮮で、びっちりと記憶できたからだろうか。歳をとってから読んだ本は記憶にはもちろんあるけれど、あらすじすらうら覚えになってしまっているのは、ただ単に脳が劣化しているからなのだろうか。今日みたいに暑い日には、いくらのんびりと読んでみても全然あたまに入ってこない。みんなもそんなもん?

 読んだ本の内容は忘れてしまっても、その本を読んだときの状況や季節は妙に覚えていたりする。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を読んだときのあの夏の夜、窓から見える月と星、耳をすますと聞こえてきそうな汽笛。美しい記憶ばかりではなく、仕事もせずにフラフラして、やることもないから図書館に入り浸っていたとき読んだ東野圭吾。だからこの作家がその後、超売れっ子作家になってからもその記憶が絡まってどうも後ろめたくて読みづらい。

 そういう意味で自分の中で完全にタブーになっている本もある。シェリー夫人の「フランケンシュタイン」。フランケンシュタイン自体が問題ではなく(むしろ異様さがイメージ出来すぎてのめりこんで読んだけれど)、当時悲しい出来事があって、そこから逃避するために何でもいいから読んでみた本だった。中学生の頃の話だけれど、今でも避けてしまう。家にはあるけれど、お店には置いていないし。

 「チップス先生さようなら」もそんなたぐいの記憶が絡まった小説。イギリス文学の名作で、ヒルトンの代表作。この本も中学生のとき読んだもの。いま見るとこんなに短い小説だったかと驚いたが、当時感想文を書いたら褒められて、図書館に飾られた。みんなにすげーなぁーと言われたが、この本もつらいことから逃避したくて読んだ本だったのでそんなに嬉しくなかった。むしろ悲しかった。

 本には色々な記憶が絡まっているよね。皆さんもそうでしょう?「チップス先生さようなら」も雰囲気だけ覚えていても、あらすじなんかはすっ飛んでいる。でも当時の記憶はよく覚えているよ。ほんと、タイムスリップするスイッチになるね。最近忙しいからって本を読めなくなってる。これじゃあ記憶もできなくなるよ。もっと本を読もう!(←自分に言ってます)

 今日の国分寺は雨。久し振りに一日中雨になりそう・・・

 今日流れているのは、エレクトリック・ライト・オーケストラです。
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by yoshizo1961 | 2017-03-26 14:31 | お店あれこれ | Comments(0)

アーカイブス・ウィーク③ねじ式

 本日はアーカイブス・ウィーク3日目。ねじ式です。


「ねじ式」:2015・3・27

 つげ義春の「ねじ式」。

つげや、ガロの話は何度か書いたけど、「ねじ式」そのものには直接触れてこなかった。だっていまさら何を…という感じだし、分析しつくされているだろうし。けれどもまだ未読のお客様から尋ねられることが多いので、多少でも紹介がてら触れてみようか、と。

 「ねじ式」はいわずと知れたつげ義春の代表作。そのシュールで不条理な絵面と展開は、マンガのみならず、当時の社会にも影響を与えた。1960年代後半に発表されて以来、今も読み継がれている名作。

 メメクラゲに刺された少年が、海辺の町で医者を探してさまよう。やっと見つけた産婦人科医にシリツ(手術)をしてもらい、ボートに乗って海辺の町を去るところで終わる。あらすじらしきことはそのくらい。そこまで展開するまでの一コマ一コマがシュールで不条理に満ちている。

 いまも読み継がれてはいるけれど、現代の子どもや大人の感覚において、この「ねじ式」はどう作用するものなのかは、よくわからない。面白いのか、新しく感じるのか。それともまったくつまらないのか。昔の子どもや大人の感覚ならば共鳴できそうだが、こう世界が変わってしまった現代ではどう読まれるのか、と。若いお客様でも興味を持つ人は多いが、読んだ後の感想など聞いたことがないので、どうなのか気になる。だいたい不条理そのものに興味はあるのだろうか。シュールな絵面は面白いのか。感動とか興味のパラメーターは時代とともに変わるものなのだろうから、名作といえども時間が経てばつまらなく感ずるかもしれず、そのあたりが気になる。

 それでもお客様に尋ねられれば、面白いですよー、名作ですよー、と答える。やっぱ名作ですよね、「ねじ式」は。

 今日の国分寺は晴れ。ちょっと寒いですな。

 今日流れているのは、ベッド・ミドラーです。
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by yoshizo1961 | 2017-03-25 15:52 | お店あれこれ | Comments(0)