カテゴリ:お店あれこれ( 317 )

古本屋、レオンに泣く

 お店で流れているBGMは、ほぼ店主の好みに拠るものである。だから本を探すのに邪魔にならないものをとか、耳あたりのいいものをという配慮に基づいたものではない。そもそも古本屋に音楽は必要か?-必要である(うちのお店の場合は)。

 あくまでも本が主役なので、流れている音楽は引き立て役としてのBGMという立場を越えるものではないが、その楽曲によってはBGMそのものが主張し過ぎて一喜一憂することがある。

 昨日、現実にあった話。

 昨日は一日中ひどい雨で、客足もまばら。近所に住むお客様や、たまたま食事に出たついでに寄って頂いたお客様ぐらいでお店は閑散としていた。昼からずっと「ビギンの一五一会」というアルバムをリピート再生していた。ビギンは雨が似合うなどと思いながら。けれども一日中耳に入ってくると飽きてくる。ブログにも本日のBGMはビギン・・・と書いた以上、閉店までかけていようと思ったが夜になっても誰も来ないのでCDをチェンジした。J・ポップつながりということで、たまたま持ってきていた尾崎豊をかけた。「I LOVE YOU」が雨音を消し去るようにお店の中にあふれた。
 
 なんともいい雰囲気なのだ。ボリュームを上げて「I LOVE YOU」ばかり何度もリピートして聴いていた。外は雨。だが、お店の中はなんともしっとりしている。こういう時にこそ、そこはかとない憂いを秘めた美しい女性が(だんだん妄想癖が・・・)お店に入ってくれば、この雰囲気に陶然とするだろう。と、思うのだが誰も入って来なかった。尾崎の「I LOVE YOU」がこれ程、雨の夜に合うのなら別のしっとり系の曲ではどうなるのだろうと思い、またCDをチェンジした。レオン・ラッセルのベスト盤。

 レオン・ラッセルは70年代に人気があったアメリカのロックミュージシャンだが、この人の「A Song For You」という曲は尾崎以上にしっとりとして雨の夜に溶け込むのであった。だが、このベスト盤の後半は「んー?」という感じの曲も入っている。粒ぞろいの曲が揃ってはいるのだが、70年代の古臭さが染み出た曲もあるのだ。そのあたりの曲はいつもはスルーするがそのまま流していると、傘をたたむ音がして、かわいい感じの若い女子のお客様が。

 なぜ「I LOVE YOU」の時に来ない!と、頭のなかでうそぶいては見たが、そういう時に限って「んー?」の曲が。ジャンジャカとうるさい曲がせっかくのしっとり感を打ち砕くのである。速攻で曲を変えたいがそれも変なので、もやもやしているうちにお客様は帰られてしまった。あーあ、と思っても仕方が無いが自信のあるBGMの中で本をみて欲しい・・・。閉店時にCDを止めてレオン・ラッセルのジャケットを見ると、どこか恨めしそうな視線が痛ましく感じられるのであった。

 今日の国分寺は晴れ。明日は曇り?

 本日のBGMはマイク・オールドフィールドの「チューブラーベルズ」。しっとりというよりじっとりという感じ?
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by yoshizo1961 | 2013-10-21 17:19 | お店あれこれ | Comments(0)

きなこ屋のエプロン

 お店で私が着けているエプロンは、三重県の美杉村という山深い里にある「きなこ屋」さん特製のものである。

「きなこ屋」さんは、ご夫妻で営まれている手作り物の工房である(工房という表現では括れないけれども)。三重県特産の松坂もめんで、小物や服などこしらえて売っておられる。が、最近は松坂もめんよりも羊の毛を使った手紡ぎの仕事にシフトしているようだ。妻の小学校時代の友達の友達という関係から始まって、親しくおつきあいをさせて頂いている。ご主人はどこか仙人めいて(俗っぽいところもあるが)独自の生き方をつらぬいておられるし、奥さんは作家として手紡ぎ仕事に精進されている。

 当初、エプロンを着ける予定ではなかったが、本を扱うのにエプロンをしていると便利だし働いている気もするので特注で作って頂いた。丈夫だし、本に値付けする鉛筆や消しゴムの専用ポケットも付いている。使いやすさ重視で出来ているので助かっている。

 きなこ屋製品も素晴らしいのだが、それと並んで素晴らしいのはこのご夫妻の生き方なのである。何年かに一度遊びに行かせて貰っているが、行く度に家は増殖し(もちろんご主人の大工仕事)それがまた普通のセンスを超越しているので(どんどん不思議な建物になっていく!)なんとも言えずいい感じなのである。他にも紹介したいことが尽きないご夫妻なので、続きはまた今度ゆっくりと。なお、来月後半に予定しているクリスマス雑貨セールにはきなこ屋さんの手作り品も並ぶので、乞うご期待!

 今日の国分寺は雨。少し小止みになってきたかな?

 本日のBGMはビギン。シンプルな楽曲が雨の日によく合います。

 
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by yoshizo1961 | 2013-10-20 15:13 | お店あれこれ | Comments(3)

つなぐもの

 本を買って頂いたお客様には、手作りのしおりをプレゼントしている。妻の発案で始めたことだが、しおり自体も妻の手作りである(洋紙のマーメイド紙を短冊状にカット、表上面に手描きイラストが入り裏面にお店のハンコが押してある)。

 精算を済ませた後、しおりを選んで頂く。数十枚の中に数枚アタリを混ぜてあるので、その説明もする(アタリといってもささやかなものであるが)。そういった一連の会話からお客様とのコミュニケーションが生まれればいいと思っている。

 開店当初からお客様とのやりとりはプレッシャーであった。接客の仕事をした経験もほとんど無く、今までの仕事においても特定の人以外に接することもなかったし、自ら社会の中で、何かしらの活動に触れるということもそうは無かった。また、そうする必要性も感じなかった。それが毎日お客様と接し、必然的に何らかのコミュニケーションを持つということは、自分にとって本を売るということよりも大きな出来事であったのだ。

 だいたい元から人見知りする方だし、元気はつらつで誰とでも話しが出来るタイプでもない。その点、妻の場合は、誰とでもカラカラと笑いながら話しが出来るタイプなので困ることは無い。いや、ちゃんと話してるじゃないかと思う方もいらっしゃると思うが、自分としては相当ちからを入れて喋っているのである。

 ただ以前にも何度となく触れているが、お店の狭さ故に、黙したまま対峙するのはこちらもお客様にしてもどうも気詰まり感がある。なにやら空気が重く感じられる時は何か話しでもと、さりげなく(本当はちからを込めて)お声掛けすることもある。どんな本をお探しですかではなく、今日は寒いですねとか雨降ってきましたかとか。それで反応して頂ければ、少し楽になる。が、本に集中していたり、そういったこと自体疎ましく感じられる方もいらっしゃるだろうから、どうも難しい。

 そういうわけで最近は、挨拶をしたあとは(何かに集中して気配を消していることもあるが)、たいがいは帳場で所在無げに座っているわけである。そこで、しおりが活躍する。

 しおりの説明をした後に色々話しをつなげられるし、沈黙の空間もいっきになごむ。アタリが出れば盛り上がるし、はずれても笑ってくれる。

 話しベタではあるし、内気ではあるが話しをすることは嫌いではないので、来店されたときはぜひ店主に話しかけて下さい!!

 今日の国分寺は寒い雨。明日は台風だそう。ここでお知らせ、明日は臨時休業。明後日の木曜日を振り替え営業とさせていただきます。よろしくお願い致します。

 本日のBGMは、ジェフ・ベック。「哀しみの恋人たち」が泣かせます。
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by yoshizo1961 | 2013-10-15 16:21 | お店あれこれ | Comments(0)

わずか三坪に広がる宇宙

 以前にも書いたが、うちのお店はとにかく狭い。三坪しかない。しかも、三角形なのだ。まだいらしたことの無い方にはイメージしにくいと思うので簡単に説明すると、床面が直角三角形。お店の正面右側が直角で、左側が斜めに切り込んでお店の奥が尖っている。その尖っているところの脇に帳場があり、私が座っている(帳場といっても、ひと一人でいっぱい)。天井の高さは2600cmくらいあるから圧迫感は無いけれど、まあ、狭いのである。

 外から見ると正面玄関側はフラットに見えるので普通のお店に見えるのだが、一歩踏み込むと、「ん?」となるのである。しかも開店当初よりも本が増えているので、その分床面に迫り出す形になり、ますます狭くなるという次第。

 開店中に棚の整理などを始めてしまうと、収拾がつかなくなって、にっちもさっちもいかなくなることがあり、そんな時お客様がいらっしゃると、大変。広げた本の山をあっちこっちに移動してスペースを作ろうとするけど、まあ、お客様にとっては迷惑そのものな状況となる。バックヤードがあればいいのだが、もちろん、無い。

 開店当初、この業界で有名な”古本ツアー・イン・ジャパン”で、うちのお店もとりあげていただいたことがあり、その後も”古ツア”さんの一箱古本市での、おまけちらしの中で、ちいさなお店として紹介していただいた。その中で書かれている通り最高収容人数は、5人がめいっぱい。例えばその5人のお客様が、”連れ”であればスムーズに移動出来るが、全く関係なしの5人だと、各自の足元の前にある棚から自由に移動が出来ず、固まって、同じ棚を見続けるハメになる。

 まあ、5人ものお客様が押し合いへし合いなどという状況も滅多にないので、困ることもないが、本当を言えば、お客様が入りすぎて困ってみたいし、入りすぎて立錐の余地も無い、などと言ってみたい。

 ともかく空間は狭くとも、そこにある本たちは広くあって欲しい。有限の、わずか三坪でも、広がる宇宙は無限なのである。極セマ古本屋の店主としては、その気概を忘れず精進しますので、今後ともどうぞよろしく!

 今日の国分寺は晴れ。いい天気のせいか、いつもよりお客様も多い。有難うございます。

 本日のBGMは、KLIMPEREI。フランスの現代音楽系?(ポップな現代音楽というべきか?)。うちのお店のメインミュージックとして、開店当初からよくかけていますが、
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その雰囲気からポコポコミュージックと呼んでいます。

 

 

 
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by yoshizo1961 | 2013-10-07 16:47 | お店あれこれ | Comments(0)

どうやって生きているのか

 住んでいるところの近所に住んでいる友人から、開店祝いでいただいた植物のつくりものを、ドアの横の手作り棚に置いてみた。つくりものではあるが、植物自体は本物なのでややこしい。吉祥寺にある、おしゃれでかわいい花屋さん(吉祥寺だったよね?間違ってたらゴメン)に特注で作ってもらったものだそう。そんなすばらしい作品なのに、ほんと申し訳ないことに、底面に付いていた木の皮の台座が取れてしまった・・・。ごめんなさい(近々直します)。

 不思議なことに、この植物は水をやらなくていいそうである(空気中の水分を吸収して生きているらしい)。人間も皮膚呼吸で腹いっぱいになったら?

 今日の国分寺は少し曇りぎみ。なんか腹減ってきた・・・

 本日のBGMはクラフトワーク。一日中聴いてると、やっぱ、ちょっとね・・
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by yoshizo1961 | 2013-09-30 16:19 | お店あれこれ | Comments(0)

まどそら堂の夜

 秋も深まりつつある今日この頃。

夏の間はそうでもなかった日の暮れの早さが、つくづく感じられるようになった。

 あたりが暗くなると、頃合いをみて店頭の照明にひかりを入れる。
小金井方面にある大きな交差点から、お店のあかりが見えるように。
裸電球まぶしくて(笑)近くでは凝視できないが交差点あたりからならちようどいい塩梅。
このあかりに誘われて、お客さんが、わさわさ集まってくればいいなぁと夢想してしまう(カブトムシじゃないって)。

 でもお店の前の通りの向こう側に立って、あかりの灯った佇まいを見ているとほっこりするから
不思議。
ひかりは明るいのに、周りの闇に溶け込んでいる。
お店の前のバス停もどことなく誇らしげ。信号の加減か、車の流れがピタッと止まる瞬間、世界も止まる。そんな時、奥深い夜空から、
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汽笛を鳴らして、銀河鉄道が降りてくる。誰もいないバス停に停車・・・


 あぁ、また夢想・・・。100円均一台のねこも笑っているね。
「銀河鉄道の夜」がまた読みたくなった、まどそら堂の夜であった。
(ほんとうに降りてきたら切符のもぎりをやらせてもらいたい!)


 今日の国分寺はずっと雨。暗いから早めにライトアップ!

 そうそう、明日(木)は、定休日です。またのお越しをお待ちしております。

 本日のメインBGMはピンク・フロイド。「おせっかい」を中心に。

「吹けよ風、呼べよ嵐」のロジャー・ウォーターズのベースを聴くと、アブドラ・ザ・ブッチャー

のひたいのキズを瞬間的に連想してしまうのは、私だけでしょうか?








 
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by yoshizo1961 | 2013-09-25 18:12 | お店あれこれ | Comments(0)

ブログ始めました

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 とうとうというか、やっとというかブログを始めることにしました。
お店の情報、本や美術の話、国分寺の近況など思いつくままに発信して
いきたいと思っています。歳はくっていますが、まだまだひよっこですので
拙いところもままあるかと思いますが、どうぞ、よろしく!

なお、フェイスブックでは既にお店情報を発信していますので、そちらもよろしく!


古書まどそら堂/営業時間13:00~19:00/木曜定休
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by yoshizo1961 | 2013-09-22 17:40 | お店あれこれ | Comments(0)