やさぐれますよ、ほんと。

 西村賢太の『やまいだれの歌』を読む。タイトルのやまいだれは部首のやまいだれだが、やまいだれのみの表記ができないので暫定的にやまいだれとしてある(意味わかりにくい)。

 もう西村賢太を読むのはやめようと思っていたが(いつも読後に後味悪くて、なのにいつもなぜか主人公の北町貫多に同調してやさぐれてしまうため)、かの作家の初長編ものではあるし、あの秋恵も出てこない年代の話なので(秋恵ものがいちばんやさぐれる)、ま、大丈夫かなと思い読み始まると、これがやはりというかどっぷりと西村節にハマり、帰りの電車も降りる駅を乗り過ごしてまで読み続けてしまうのだった。

 今回は『苦役列車』の頃に近く、秋恵も出てこないので安心して読み進めていたが、やはり貫多のまわりくどい思考と、結局ドツボにはまっていくその行動に辟易気味になってきて、ならば読むのをやめればいいのに、あにはからんや、結局中毒患者のようにむさぼり読むという、相反する稀有な読書体験なのである。

 あいかわらずのヘンテコな言い回しが絶妙でこれが癖になる一つの要因なわけだが、たしかに作家が影響を受けた大正とか昭和の作家のへたくそな文章をへたくそ風に真似て、いや、へたくそを自分の文章に昇華して、へたくそ風に書くそのスキルはプロ中のプロなのであった。しかしその実は上手い!のでほんと、脱帽です。

 そういうわけでまたしても西村賢太にはまってしまったわけでした。やさぐれても知りませんが『やまいだれの歌』、おすすめです。

 今日の国分寺は晴れ。

 今日流れているのは、カーペンターズです。
b0304265_1529395.jpg
 
[PR]
by yoshizo1961 | 2017-06-10 15:29 | 本あれこれ | Comments(0)
<< 新入荷情報80 ノストラダムスの大予言勢ぞろい >>