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アーカイブス・ウィーク④チップス先生さようならの記憶

 本日はアーカイブス・ウィーク4日目です。まだ続きます。今日は「チップス先生さようなら」。


「チップス先生さようなら」の記憶 :2014・6・1

 多感だった10代の頃に読んだ本は、今でもあらすじが浮かんでくる。それは、若いために記憶容量が多くて、しかもまだ細胞も新鮮で、びっちりと記憶できたからだろうか。歳をとってから読んだ本は記憶にはもちろんあるけれど、あらすじすらうら覚えになってしまっているのは、ただ単に脳が劣化しているからなのだろうか。今日みたいに暑い日には、いくらのんびりと読んでみても全然あたまに入ってこない。みんなもそんなもん?

 読んだ本の内容は忘れてしまっても、その本を読んだときの状況や季節は妙に覚えていたりする。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を読んだときのあの夏の夜、窓から見える月と星、耳をすますと聞こえてきそうな汽笛。美しい記憶ばかりではなく、仕事もせずにフラフラして、やることもないから図書館に入り浸っていたとき読んだ東野圭吾。だからこの作家がその後、超売れっ子作家になってからもその記憶が絡まってどうも後ろめたくて読みづらい。

 そういう意味で自分の中で完全にタブーになっている本もある。シェリー夫人の「フランケンシュタイン」。フランケンシュタイン自体が問題ではなく(むしろ異様さがイメージ出来すぎてのめりこんで読んだけれど)、当時悲しい出来事があって、そこから逃避するために何でもいいから読んでみた本だった。中学生の頃の話だけれど、今でも避けてしまう。家にはあるけれど、お店には置いていないし。

 「チップス先生さようなら」もそんなたぐいの記憶が絡まった小説。イギリス文学の名作で、ヒルトンの代表作。この本も中学生のとき読んだもの。いま見るとこんなに短い小説だったかと驚いたが、当時感想文を書いたら褒められて、図書館に飾られた。みんなにすげーなぁーと言われたが、この本もつらいことから逃避したくて読んだ本だったのでそんなに嬉しくなかった。むしろ悲しかった。

 本には色々な記憶が絡まっているよね。皆さんもそうでしょう?「チップス先生さようなら」も雰囲気だけ覚えていても、あらすじなんかはすっ飛んでいる。でも当時の記憶はよく覚えているよ。ほんと、タイムスリップするスイッチになるね。最近忙しいからって本を読めなくなってる。これじゃあ記憶もできなくなるよ。もっと本を読もう!(←自分に言ってます)

 今日の国分寺は雨。久し振りに一日中雨になりそう・・・

 今日流れているのは、エレクトリック・ライト・オーケストラです。
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by yoshizo1961 | 2017-03-26 14:31 | お店あれこれ | Comments(0)
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