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生きものと食べもの

 『料理家ハンターガール奮戦記』なる本を読んでみた。著者は井口和泉さん。

 ジビエ(野生動物)料理を追求したくてという理由以外に、どこからが「生きもの」でどこからが「食べもの」なのか、まして「ごちそう」なのかという問いを抱える料理家の話。

 ハンターガールと言えば何となく今風に聞こえて、身近ではない狩猟という世界が近く見える気がするが、前述のように生きものが食べものになるまでの過程に、みずからが関わることで、今まで生きていたものを食材として取り扱うその心の在り様を自分自身への問いとしてずっと考え続けている様がリアル。

 井口さんは狩猟免許は持っているが、銃で狩猟をするわけではなく罠で狩猟をする。ただとどめを刺す行為をするかしないかで逡巡し、結果、しない。揺れ動く心の在り様をそのまま抱えて、命と食について考える。

 狩猟の世界についての詳細や歴史などもふんだんに盛り込まれて書かれているけれど、全編にわたって貫かれている問いがこの本の肝。確かにいつも食べているお肉は食材でしかなく、生きていたものの死骸であるとは思わない。その辺、自分だったらどうかなと考えてみても・・・どうなんだろうか。簡単に答えられず。

 バーベキューからこっちにきてしまった今年の夏の読書本。おすすめです。

 今日の国分寺は晴れ時々曇り。風がすこし涼しい?

 今日流れているのは、カルメンマキ&オズです。
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by yoshizo1961 | 2016-08-14 14:44 | 本あれこれ | Comments(0)
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