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あの頃のジュリアン・シュナーベル

  ジュリアン・シュナーベルはいまどんな絵を描いているのだろうか。

 ジュリアン・シュナーベルとは、80年代のアートの世界で旋風を巻き起こしたニュー・ペインティングの旗手的アーティスト。70年代から続く“描いてはいけない“的状況をぶち破り、好きなままに形象を持った「絵」を描いた人。

 絵を描くことに制約があるわけもなく何を描いたっていいのは当たり前だけど、70年代はそんなこともなく、絵画は死んだことになっていて(笑)、絵を描くこと自体否定されていたのである。もちろん絵画は絵画として存在し死んだわけじゃないけど、死んだふりをしていたわけだ。コンセプチャルなアートが世界を覆い、日本では“もの派”と呼ばれる美術家たちがいわゆる石とか鉄板とか木とか布とかの「もの」を転がして、ただ提示するという表現をしていた頃。

 70年代後半になるとその“もの派”の末裔ともいうべき作品ばかりになり、なんだかモノクロームな素材の組み合わせでこれでどうですか的な作品群に辟易した若い世代からみればジュリアン・シュナーベルの絵画はアートの救世主に見えたと思う。というか、すでに若い世代は同時代的にそういった形象を持ち、色彩豊かで豊饒な作品を作り始めていたわけだ。

 シュナーベルは大量の割れた皿を(たぶん)エポキシ樹脂かなんかでキャンバスを貼ったパネルに貼りつけ、その上に油絵具で形象を描いた。情熱的でワイルドでありながら、こんなことやっていいんだ?というイメージをそのまま表現して、新しい時代の象徴的アーティストとなった。

 シュナーベルを見出したメアリー・ブーンという女性のギャラリストにもスポットがあたり、シュナーベルに続いてイメージをダブルバインドさせて描くデヴィット・サーレなどを世に出した。なんか80年代は華々しくてみんなキラキラしていたんだと思う。

 今年は2016年で、もう36年もの時間が経過した今、シュナーベルの画集を開くと当時の熱気がよみがえってくる。最近どうなのかまったくわからないけど(えーと、いまは映画を作っているんだったっけ?)、シュナーベルの絵をまた見たいなー。

 今日の国分寺は曇りと雨。寒いです。

 今日流れているのは、ポリス。ベスト盤です。
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by yoshizo1961 | 2016-02-15 15:11 | 美術あれこれ | Comments(0)
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