球(たま)

 どうにも気が詰まるようなことがあって、モヤモヤした心持のままボォーと歩いていたら北口の路地を入ったところにあるギャラリーにたどりついた。

 中を覗くと、手前に、無造作に壁に立てかけられた蛍光灯に照らされた大きな球がひとつ。バスケットボールをひとまわり大きくしたくらいの球。一見、石に見える。重そう。

 展示スペースの半分から奥は違う作品。ブルーシートが垂れ下がり、工事中かと思うたたずまいのなか、一人の女性が暮らしていた。床に寝袋?路上生活風の日用品に囲まれた部屋で暮らしているという。彼女が,映像作品があるというので見せてもらう。壁に投影された動画。さきほどの球を転がして歩いたり電車に乗ったりのロードムービー風の映像作品。

 種を明かせば、以前うちのお店で個展をしてくれた村野くんの個展なのだった。石だと思った球は木(もく)だった(映像作品の中で川にぶちこまれた球がプカプカ浮いていたのでわかったのだが)。奥で暮らしていたのは亜図美ちゃん(詩の展覧会で出品してくれた久保亜図美さん)だったが、これもまた作品なのであった。

 映像は村野くんと友達がさきほどの球を転がして小さな旅をするという体裁だが、街中を転がしていくときの、何やら呪文めいたぶつぶつ言う詩のような文言が怪しげで、しかも球に込められた思いを儀式めいた行為で表現するという、なにやら不思議な人達なのであった。

 最初はこれどのくらい続くのかなと思いながら観ていたけど、だんだん魅入られて結局最後まで観てしまった。球と太陽が重なるシーンは映画みたいでかっこよかったよ。モヤモヤした気持ちでいたのがすこし救われた。やってることに意味を見出すことはしないけど、おれが囚われている事柄なんてものは、この球が吸い取ってくれたような気がして少し楽になった。やっぱ、こういう美術というものはいいですな。あの球、欲しい・・・。

 村野正徳「 」チジョウエ 4月25日(土)まで。火・水休み。⒒:30~18:30まで
 (国分寺北口) switch pointにて

 今日の国分寺は曇り。明日から晴れの日だ・・・

 今日流れているのは、R.E.M。「アウト オブ タイム」です。
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by yoshizo1961 | 2015-04-21 15:13 | 美術あれこれ | Comments(0)
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