「花鳥風月」小谷ふみ

 小谷ふみ。西国分寺育ち。詩人。エッセイスト。

 B4ボードの縦画面を二分割して、模様の入った和ティストの色紙で下地を敷き、その上にひとまわり小さい生成りの紙が貼られている。そうしたボードが2枚で花・鳥・風・月、4点の詩が生成りの画面に印字されている。同じ花鳥風月4点の詩が載った製本版も、ボードの手前に展示されている。

 花鳥風月にまつわる四つの詩。花「理由」、鳥「雨宿り」、風「青と白」、月「秘密」と続く。「やがて森になる」の、いつもの小谷ワールドが展開されているが、今回の作品はエッセイ的エッセンスよりも、「詩」ど真ん中にシフトしているように見える。エッセイ的な言葉の組み立てと、またそれがグラデーションのように詩になっていくのが小谷ふみの作風でもあるのだが、今回の作品は、より言葉に拠った作品という印象を受ける。

 たとえば月「秘密」より(部分抜粋)。

 空には鏡がないから 月の眺める夜空には月がない
 夜道を照らす月が 道に迷ってしまったら
 星明かりだけでは頼りなく 月はうつむいて涙を流す

 そんな時は 雨雲がそっと月の姿を隠すから
 きっと誰もうつむく月を見たことがない

 月の涙は夜の雨となる

 詩的だ。そしてここから続く言葉が小谷ふみなのだ。

 泣いていいよ 泣かないで
 かける言葉はどちらだろう

 風「青と白」ならば、

 胸の中ぎゅっと掴まれた

 ここ。胸の中をぎゅっと、ではなく胸の中ぎゅっと、でなければならない。

 中途半端な引用で作品自体の説明から遠ざかるばかりだが、ともかく日々の出来事と想像がない交ぜとなって、物語性を持った詩が出来上がった。あれこれ言葉を弄してもうまく伝えられないので、お店で作品を手に取ってその世界に触れてほしい。

 小谷ふみの世界を書くにあたって、彼女の作品の通底をなすもの、またはバックボーンになっているものについて考えてみた。そこまで踏み込んで考えないと、作品をなぞるだけになってしまいそうだったから。昨夜、夜中の12時頃に部屋でゴロンとなってそんなことを考えていた時、そのキーワードがふいに浮かんだ。浮かんだ瞬間それは確信に変わった。

 書く側も書かれる側も、そしてそれを読む側も、みな、はにかんでしまうかも知れないが、小谷ふみの底に流れるもの、それは、「愛」なのである。恥ずかしがってはいけない。そこが小谷ふみなのだ。紡ぐ言葉のベースには愛が満ち溢れているのである。

 ちなみにボードにも製本版にも、詩のかたすみにシルエットでできた絵(印)が押されている。シンプルでシャープなかたち。そしてその作者は文野 翳とクレジットされている。ふみのかげ、と読む。やっぱりあの「大きな彼」だった。製本は吉田史織による。こちらも→ふみよむつきひ

 今日の国分寺は雨。久し振りにまともに降ったね。明日は定休日です。また金曜日に。

 今日流れているのはポール・マッカートニー。ベスト盤です。公演中止、残念だった。お大事に。
b0304265_17145468.jpg


 


 

 
[PR]
by yoshizo1961 | 2014-05-21 17:15 | 展覧会情報 | Comments(0)
<< 「平卍」村野正徳 「絶望と青空」骨皮 筋 >>