横溝正史の彩り

 角川文庫の横溝正史・黒背本の話を。

 角川書店から出ている横溝本で、背表紙が黒地に緑文字の旧版を「黒背」と呼ぶ。装丁が変わった新装版は新刊書店で買えるが、リアルタイムで角川映画の洗礼を受けた世代ならば、この黒背に反応してしまう。

 新古書店の105円コーナーに行けば、「犬神家の一族」などの代表作ならまだ目にすることができるが、「空蝉処女」(うつせみおとめ)とか「貸しボート十三号」などの比較的マイナーな作品はレア度が高くて、そうそう見つけられなくなっている。

 読むだけなら電子書籍で読めるが、あのなんともいえない黒枠の、扇情的なカバー絵の文庫で読みたい。マニアでなくとも、コンプリートを目指したくなるラインナップ。意外と若い読者にも人気があるようだし。

 血縁・地縁もののおどろおどろしさもさることながら、やはり本格ミステリの王道を行く横溝正史には、あの怖そうなカバー絵がよく似合う。最初の頃は杉本一文のカバーだけではなく別バージョンも存在するが、例えば「真珠郎」の振り向く顔とあの腕の色、「本陣殺人事件」の、猫と少女の顔の被りの表現など、杉本一文ならではの絵だと思う。しかも枠が黒だから色が浮き立つのだ。というより(いま気がついたけれど)絵を浮き立たせるために黒枠・黒背なのだろうか?

 ちなみにカバー絵の枠は黒だが、背表紙が白い「白背」バージョンも存在する。初版では背が白かったのだ。「八つ墓村」「悪魔の手毬唄」「獄門島」「悪魔が来たりて笛を吹く」の4作の初版は白背である。レア度がかなり高く、古書価も相当する。うちのお店には「獄門島」と「悪魔が来たりて笛を吹く」の白背があります(状態も美)。

 正月のテレビに飽きたら、みかんを食べながら、こたつで横溝を読むっていうのもいいかも。帰省のお供にも、一冊どうですか。こちらも→黒背の裏側

 今日の国分寺は晴れ。夕方になって冷えてきた。ドア閉めよー。今日は思いがけず差し入れをいただいたりしてうれしい一日でした。ありがとー!

 本日のBGMはトッド・ラングレンからトーキングヘッズ、ピンクフロイドからクィーン!
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by yoshizo1961 | 2013-12-21 17:21 | SF・ミステリ | Comments(0)
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