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私の上に降る雪は

  ホラホラ、これが僕の骨だ、
  生きてゐた時の苦労にみちた
  あのけがらはしい肉を破って、
  しらじらと雨に洗はれ
  ヌツクと出た、骨の尖。

  それは光沢もない、
  ただいたづらにしらじらと、
  雨を吸収する、
  風に吹かれる、
  幾分空を反映する。

  生きてゐた時に、
  これが食堂の雑踏の中に、
  坐つてゐたこともある、
  みつばのおしたしを食つたこともある、
  と思へばなんとも可笑しい。

  ホラホラ、これが僕の骨ー
  見てゐるのは僕?可笑しなことだ。
  霊魂はあとに残つて、
  また骨の処にやつて来て、
  見てゐるのかしら?

  故郷の小川のへりに、
  半ばは枯れた草に立つて
  見てゐるのは、ー僕?
  恰度立札ほどの高さに、
  骨はしらじらととんがつてゐる。


  骨  「中原中也詩集」河上徹太郎編/角川文庫より


 中原中也の詩。だからどうだという訳でもない。たまに詩について考えたくなるだけなのだ。詩集はないかと訊かれることがたまにある。若い方が多い。感受性が強い若い時ほど、斬新で想像を超えた言葉に出会いたいのかもしれない。

 現代詩手帖を貪り読んでいた時期がある。やはり若い頃。今はさっぱりなので現代詩の状況がまるで判らない。お店で詩の特集をやりたいと前々から考えているが、お店の在庫はいま近代詩が多いので、現代詩を集めている最中だ。手当たり次第なので良い詩なのか悪いのかよく判らなくなってきた。詩集だけでなく、実作も並べてみたい。出来立てホヤホヤの詩があれば、是非お店へ(展示出来るかは内容によりますが)。集まらなかったら店主自ら書いて並べてみるつもり。有言実行。来年くらいになりそうだけど、必ず。

 
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開店した頃、よく来ていただいたお客様で現代詩に詳しい方がいた。最近見えないので残念で仕方が無い。現代詩の今の状況など色々と教えて貰えるだろうから。もしこのブログを読んでいたら、サクっとお店に寄っていただけたらと。作品を出せとは言わないので・・・。

 今日の国分寺は寒い!曇ってる。なんとなく淋しいなぁ。

 本日のBGMはキャロル・キングのタペストリー。「つづれおり」?

 
by yoshizo1961 | 2013-10-19 14:43 | 詩あれこれ | Comments(0)
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